改訂新版 世界大百科事典 「日本通運」の意味・わかりやすい解説
日本通運[株] (にほんつううん)
日本最大の貨物輸送会社。正しくは〈にっぽんつううん〉。略称,日通。江戸時代に江戸~大坂間を走った三度飛脚の業者が,明治にはいって鉄道開通と同じ1872年(明治5)に設立した貨物専門の陸運元会社が日通の前身である。以後鉄道の発達とともに通運業者として成長し,1937年に日本通運株式会社法に基づき半官半民の会社として発足してからは,全国の運送会社を次々に統合し,独占的地位を築きあげた。第2次大戦後の49年に日通法が廃止されて完全な民間企業となり,通運事業のみでなく,陸・海・空にわたる総合物流業者となった。輸送のデパートといわれるように,その営業範囲は主力のトラック輸送をはじめ,通運,海運,航空輸送,倉庫など貨物輸送にかかわるすべての分野に及び,また国内・国際旅行業務など旅客輸送にも関係している。現在,ペリカン便(宅配便),アロー便(路線トラック)など,貨物輸送の大衆化路線が営業活動の重点となっている。従業員数3万9000人,資本金702億円(2005年9月),売上高1兆7533億円(2005年3月期)。
執筆者:野村 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報