日米安保条約(読み)ニチベイアンポジョウヤク(その他表記)Japan‐U.S.Security Treaty

知恵蔵 「日米安保条約」の解説

日米安保条約

日米安全保障条約のこと。1951年の締結後、60年の改定以外、改定されたことはない。だが、96年4月のクリントン大統領・橋本龍太郎首相の共同宣言は、安保条約の性格を変えるものであり、日米安保の「再定義」といわれた。国内政治面では、冷戦時代には、日米安保肯定、自衛隊容認を基本路線とする保守政権と、日米安保破棄、自衛隊否定を路線とする社会党などの革新勢力との対立が構造化され、国内冷戦といわれた。しかし94年6月、首相に就任した社会党の村山富市は、日米安保堅持、自衛隊容認と従来の路線を転換、国内冷戦も終結した。沖縄の米軍基地問題などが残る一方、米国の単独行動主義と同時多発テロ以降の安全保障をめぐる状況の変化の中で、在日米軍再編、日米軍事協力の強化が進行しており、憲法改正問題とも絡んで歴代政府が否定してきた「集団的自衛権」の容認が議論されている。

(高橋進 東京大学大学院法学政治学研究科教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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