日隆(読み)にちりゅう

精選版 日本国語大辞典 「日隆」の意味・読み・例文・類語

にちりゅう【日隆】

  1. 室町前期の僧。法華宗(本門流)の派祖。字(あざな)は深円。号は精進院。通称は桂林房。越中国(富山県)の人。京都妙本寺の日霽師事し、のち京都本応寺(後年本能寺改称)、尼ケ崎本興寺を建て、晩年は本能寺で子弟の教育と著述に専念した。日朝と並ぶ日蓮宗学匠で、「本門弘経抄」「開迹顕本宗要鈔」を初め三千余帖を著わしたという。至徳二=元中二~寛正五年(一三八五‐一四六四

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日隆」の意味・わかりやすい解説

日隆
にちりゅう
(1385―1464)

室町前期の日蓮(にちれん)宗の僧。字(あざな)は深円。精進院、桂林房と号する。本迹(ほんじゃく)勝劣(『法華(ほけ)経』の後半の本門が勝(すぐ)れ、前半の迹門が劣るという説)の立場における熱烈な信仰者であり、学匠としては身延(みのぶ)の日朝と並んで東朝西隆(とうちょうせいりゅう)とたたえられた。越中(えっちゅう)国射水(いみず)郡浅井(あさい)郷(富山県射水市)桃井右馬頭尚儀(ももいうまのかみなおよし)の子として生まれ、10歳で仏門に入り、1402年(応永9)18歳で京都妙本(みょうほん)寺(妙顕(みょうけん)寺)日霽(にっせい)(1349―1405)に師事、日隆と号した。法華宗(本門流)、本門仏立(ぶつりゅう)宗、本門法華宗、八品(はっぽん)流系などの祖とされ、再興正導(しょうどう)門祖上人(しょうにん)と仰がれ、秋の御会式(おえしき)と春の門祖会(もんそえ)を厳修するところもある。日霽の寂後、その後嗣月明(げつみょう)らの化儀化法(教化の方法)の乱れをいさめたが聞き入れられず、同志とともに出寺し、各地に本応寺(ほんのうじ)(のち本能寺)を建て宗風を広めた。寛正(かんしょう)5年2月25日、80歳で寂。

[相葉 伸 2017年9月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「日隆」の意味・わかりやすい解説

日隆 (にちりゅう)
生没年:1384-1464(元中1・至徳1-寛正5)

室町時代の法華宗の僧。本門法華宗,本門仏立宗,法華宗(本門流),そのほか八品(はつぽん)門流系の派祖。越中国射水郡の人。父は桃井尚儀。幼時郷里の遠成寺に入り,18歳のとき上洛して妙本寺(現,妙顕寺)の日霽(につさい)に師事,師の没後,後住月明の摂受(しようじゆ)的立場に反対して妙本寺を離れ,宗学の研鑽につとめ,1420年(応永27)尼崎本興寺,29年(永享1)京都本能寺を創建し,本迹勝劣の法要を掲げて一派を起こした。その後,強信と折伏(しやくぶく)で諸国を巡錫し,越中元成寺,敦賀本勝寺,色ヶ浜本隆寺,一乗谷正法寺,河内三井本厳寺,堺顕本(けんぽん)寺,淡路の妙勝寺と妙暁寺(現,妙京寺),兵庫久遠寺,牛窓本蓮寺,備中高松本隆寺,尾道妙宣寺,宇多津本妙寺などを創建あるいは中興し,本能寺教団の基礎を築くとともに,法華宗の教線を北陸・瀬戸内諸国に大きくのばした。またその碩学は当代の学匠身延日朝に比肩され,古来宗内で〈東朝西隆〉と称され,著述三百数十巻に及んだ。
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朝日日本歴史人物事典 「日隆」の解説

日隆

没年:寛正5.2.25(1464.4.1)
生年:至徳2/元中2(1385)
室町前期の日蓮宗の僧。はじめ京都妙本寺の日霽に師事。その没後,同寺を離れて関西,瀬戸内方面で折伏・弘教を進めた。尼崎本興寺をはじめ多くの寺院を創建する一方で,『本門弘経抄』など300巻を超える著作をなしたことが知られている。学風は日蓮教学と天台教学の相違を明らかにし,日蓮宗の独自性を顕彰することに力点が置かれていた。日隆門流・八品派と呼ばれ,その門流からは,種子島開教と殉教で有名な定源日典をはじめとする多彩な人材を輩出している。なお「本能寺の変」で有名な京都の本能寺は,日隆の開創になるものである。<参考文献>立正大学日蓮教学研究所編『日蓮教団全史』上

(佐藤弘夫)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「日隆」の解説

日隆 にちりゅう

1385-1464 室町時代の僧。
至徳2=元中2年生まれ。日蓮宗。法華宗(ほっけしゅう)本門流(八品(はっぽん)派)の祖。京都妙本寺の日霽(にっせい)に師事。師の死後,跡をついだ月明(がつみょう)と対立,寺をでて京都に本応寺(のちの本能寺),尼崎に本興寺をひらいた。寛正(かんしょう)5年2月25日死去。80歳。越中(富山県)出身。俗姓は桃井。字(あざな)は深円。号は精進院,桂林房。

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367日誕生日大事典 「日隆」の解説

日隆 (にちりゅう)

生年月日:1385年10月14日
室町時代の日蓮宗の僧
1464年没

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