デジタル大辞泉
「日食網膜症」の意味・読み・例文・類語
にっしょく‐もうまくしょう〔‐マウマクシヤウ〕【日食網膜症】
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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知恵蔵
「日食網膜症」の解説
日食網膜症
日食を直視することで太陽の強い光線が目に入り、網膜に障害をきたすこと。日光網膜症ともいう。目に痛みや熱さを感じたり、疲労感やめまいが起こったりすることもある。網膜の細胞が受けた損傷の程度によっては、視力低下が起こり、視野の中央に中心暗点が残ることもある。古くから知られる障害で、日食のたびに世界中で症例が報告されてきており、2012年5月21日の金環日食に先駆けて日本眼科学会、日本眼科医会が、太陽を直視しないよう呼びかけた。
可視光線のうちの青色光と、赤外線などにより、目の中の視色素から活性酸素などが生じるのが原因とされている。活性酸素はしばらく眼内にとどまるため網膜の損傷は徐々に進むことがあり、観察中や観察直後に無症状であっても、数時間後、翌日、あるいは数日経ってから症状が出現する場合もある。
特にリスクが高いのは、晴れた日の観察、眼球の透過性の高い乳幼児や小児、白内障で眼内レンズを挿入している人などである。また、観察の途中で休憩を入れても、観察時間の合計が長くなるほどリスクは高まる。
炎症を抑えるためにステロイドが投与されることもあるが、有効性はまだ確かめられていない。
日食網膜症を予防するためには、青色光や赤外線を遮断できる日食観察グラスを通して観察する必要がある。また、ピンホールを通してできる影や、小さな鏡で壁などに投影した像を間接的に観察する方法もある。黒い下敷きやサングラス、すすを塗ったガラスなどでは、網膜症を引き起こす光線を遮断できないので、日食網膜症の予防にはならない。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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