日本大百科全書(ニッポニカ) 「早川(神奈川県)」の意味・わかりやすい解説
早川(神奈川県)
はやかわ
神奈川県西部、足柄下(あしがらしも)郡箱根町から小田原市にかけて流れる川。延長29.4キロメートル。芦ノ湖(あしのこ)北端の湖尻(こじり)に発し、仙石原(せんごくはら)(火口原)をはじめ中央火口丘と古期外輪山の間を流下する火口瀬(らい)で、湯本で須雲川(すくもがわ)をあわせ、小田原市で相模(さがみ)湾に注ぐ。その流水がきわめて早く雷のような音をたてるというので早川と名づけられたという。本流沿いの谷壁は箱根火山の基盤岩層に近く、至る所に緑や紅葉のうっそうたる樹林、それに清流を配して富士箱根伊豆国立公園の核心的景勝美をなす。加えて古くから湯本、塔ノ沢、堂ヶ島、宮ノ下などの温泉の湧出(ゆうしゅつ)も多い。早川の水は江戸時代から小田原の城下町用水、また沿岸農村の灌漑(かんがい)用水に利用されてきたが、現在は県営発電所の用水にも使われている。
[浅香幸雄]