ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「早川徳次」の意味・わかりやすい解説
早川徳次
はやかわとくじ
[没]1980.6.24. 大阪
経営者。家電メーカー,シャープの創業者。2歳で養子に出され,極貧のうちに育ち,学校も小学2年で退学。9歳で飾り職人の丁稚となり,18歳で独立。その金属細工の技術をいかし,1915年に開発・製造した早川式繰出鉛筆(→シャープペンシル)で事業の基礎を固めたが,1923年の関東大震災に被災し,工場は壊滅,妻子を失った。1924年大阪に移り早川金属工業研究所を設立,金属加工のかたわらラジオの研究に従事し,1925年のラジオ放送開始に合わせ小型鉱石ラジオを発売し好評を得る。第2次世界大戦後の 1951年にはテレビ受像機(→テレビジョン)の試作に成功,1953年の放映開始に合わせ量産化を始めた。さらに 1959年には洗濯機や冷蔵庫など家電製品を製造する総合電化工場を設立し,今日の基礎を築いた。また,1962年には電子レンジ,1963年には太陽電池,1964年には世界初のオールトランジスタの電子式卓上計算機と,独創的な商品の開発でも実績を上げた。貧しかった幼少期の苦労と震災で妻子を失った体験から,第2次世界大戦中には傷痍軍人のための工場を設立し,社長を退任し会長となった 1970年には障害者が働くことができる工場を設立するなど,福祉活動に力を注いだ。
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