福島県会津地方、大沼郡にある村。只見(ただみ)川の支流、野尻(のじり)川や滝谷(たきや)川などの流域で金山谷(かねやまだに)の一部をなす。1927年(昭和2)野尻、大芦(おおあし)の2村が合併して成立。谷底の低地でも標高400メートル以上に達する山村で、特別豪雪地帯に指定されている。国道400号、401号が通じる。米作のほかニラ、高冷地野菜を栽培する。近年ではカスミソウなどの花卉(かき)栽培が急増している。カラムシの栽培が盛んで、着物や帯地用のからむし織の特産がある。南部の駒止湿原(こまどしつげん)(一部は南会津町)はミズバショウなどの群生地で国の天然記念物に指定されている。また、矢の原湿原においてもミズバショウなどの植物群がみられ、福島県自然環境保全地域に指定されている。面積209.46平方キロメートル、人口1246(2020)。
[安田初雄]
『『昭和村の歴史』(1973・昭和村)』
秋田県西部、南秋田郡にあった旧町名(昭和町(まち))。現在は潟上(かたがみ)市の東部と中部を占める地域。秋田市の北隣にある。旧昭和町は、1942飯田川町(いいたがわまち)、豊川村(とよかわむら)が合併して成立。1950年(昭和25)旧飯田川町と旧豊川村が分離したが、1956年にふたたび豊川村と合併。2005年(平成17)飯田川(いいたがわ)、天王(てんのう)の2町と合併して市制施行、潟上市となった。JR奥羽本線と国道7号(羽州街道)が通じ、秋田自動車道の昭和男鹿半島インターチェンジが設置されている。農業は稲作のほか、近年キク、バラ、リンゴ、ナシの栽培が行われている。西部は八郎潟調整池に臨み、漁業は養殖漁業に中心が移り、伝統的産業であったワカサギやシラウオの佃煮(つくだに)製造は減少している。南部の丘陵地にはかつて豊川油田が稼業しており、現在は天然ガスが家庭に供給される。かや葺(ぶ)き中門造りの民家の昭和歴史民俗資料館(休館中)のほか、八郎潟漁労用具(国の重要有形民俗文化財)収蔵庫、農村指導者石川理紀之助(りきのすけ)の遺跡(県史跡)および業績を紹介する郷土文化保存伝習館がある。
[宮崎禮次郎]
『『昭和町誌』(1986・昭和町)』
群馬県北部、利根郡(とねぐん)にある村。利根川および支流片品川(かたしながわ)下流の左岸地域と赤城(あかぎ)山の北西斜面を占める。片品川沿岸の2~3段の段丘はみごとに発達して、水田耕作や葉物野菜、コンニャクイモの栽培が行われる。かつては養蚕が盛んであった。赤城山の緩斜面には標高約820メートルまで、第二次世界大戦後の大規模開拓地があり、近代的灌漑(かんがい)設備をもち、酪農と野菜栽培に特色をもつ。川額(かわはけ)には東京電力の伏田発電所(ふせだはつでんしょ)がある。1998年(平成10)関越(かんえつ)自動車道の昭和インターチェンジが開設、その周辺に工業団地が造成された。面積64.14平方キロメートル、人口6953(2020)。
[村木定雄]
山梨県中部、中巨摩郡(なかこまぐん)にある町。甲府市の南西隣に位置する。1971年(昭和46)町制施行。JR身延(みのぶ)線、国道20号が通じる。甲府盆地中央部の釜無川(かまなしがわ)沖積原上に位置し、かつては米作を主体とする農村であったが、昭和30年代以降、甲府の近郊化が進み、住宅、工場が進出し、人口の増加も著しい。工業では国母(こくぼ)・釜無の両工業団地の一部が町内を占めている。中央自動車道の甲府昭和インターチェンジを有し、甲府市への玄関口にあたる。面積9.08平方キロメートル、人口2万0909(2020)。
[横田忠夫]
『『昭和村誌』(1958・昭和村)』
福島県西部,大沼郡の村。人口1500(2010)。只見川支流の野尻川上流を占め,博士山(1482m)をはじめとする標高1000mをこえる山々に囲まれる。米作のほか,第2次大戦後は葉タバコ,コンニャク芋の栽培が盛んとなったが,1988年の品種転換以降,花卉栽培が増加した。大芦地区を中心に近世からカラムシの栽培が行われ,越後上布の原料として送られていたが,1975年からは織物業の育成がはじめられ,過疎化の歯止めのための新しい地場産業として期待されたが,人口減少は続いている。南端の駒止峠付近にある駒止湿原(天)や矢ノ原湿原はミズバショウの群生地として知られる。
執筆者:佐藤 裕治
群馬県中部,利根郡の村。人口7620(2010)。赤城山北西麓を占め,北西境を片品川,西境を利根川が流れ沼田市と接する。古くからの集落は河川沿岸低地にあり,標高600~800mの赤城山麓斜面には第2次大戦後に開拓された入植地が分布する。山麓斜面は1967年完成の畑地灌漑事業によって,それまでの雑穀や麦作からキャベツ,ダイコンなどの野菜栽培に転換し,県内でも有数の野菜産地に変貌した。コンニャクの生産も多い。関越自動車道のインターチェンジがある。
執筆者:千葉 立也
山梨県中央部,中巨摩(なかこま)郡の町。1971年町制。人口1万7653(2010)。甲府盆地中央部に位置し,釜無(かまなし)川沖積地を占める。釜無川はんらん原の肥沃な土地に恵まれ,県下有数の穀倉地帯であるが,近年はイチゴ,ナスなどの促成栽培が盛んになっている。甲府市の西に隣接し,交通の便がよいため,農地の住宅地化が進み,国母・釜無両工業団地も造成された。JR身延線,国道20号線バイパスが通じ,中央自動車道甲府昭和インターチェンジがある。
執筆者:萩原 毅
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