暗渠(読み)アンキョ

デジタル大辞泉 「暗渠」の意味・読み・例文・類語

あん‐きょ【暗×渠】

地下に埋設したり、ふたをかけたりした水路暗溝。→開渠かいきょ
[類語]みぞどぶ側溝溝渠

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精選版 日本国語大辞典 「暗渠」の意味・読み・例文・類語

あん‐きょ【暗渠】

  1. 〘 名詞 〙 道路鉄道などの地下に埋設したり、地表にあっても水面が見えないように、ふたがしてあったりする通水路や排水溝
    1. [初出の実例]「一層の事橋の幅を窮極まで拡げて隅田川全部を暗渠とし」(出典:江戸から東京へ(1922)〈矢田挿雲〉八)
    2. [その他の文献]〔梅堯臣‐与正仲屯田遊広教寺詩〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「暗渠」の意味・わかりやすい解説

暗渠
あんきょ

地下に設けられていて外からは見えない水溝(すいこう)。流水面が見える水路を開渠または明渠とよぶのに対する語で、目的、構造の異なる排水暗渠under drain、集水暗渠collecting channel、通水暗渠closed conduitの総称。排水暗渠は、地面に深さ1メートル弱の溝を掘り、底に吸水渠を敷設して埋め戻したもので、土壌中の過剰水を吸収排除して、農地、グラウンドなどの土壌水分を適正値に制御するために、あるいは、下向きに土中浸透水流を生じさせて土壌中の塩分を洗い流すために用いられる。近年灌漑(かんがい)農業の普及によって塩類蓄積による土壌資源の破壊が世界的に問題になってきて、後者の役割がとみに重視されている。吸水渠を粗朶(そだ)、石礫(せきれき)などの粗積みで形成したものを簡易暗渠といい、紀元前約3000年のウル遺跡(イラク南部)にさかのぼる歴史をもつが、現在は土管、多孔プラスチック管などによる完全暗渠や、穿孔(せんこう)機を用いて土中に孔を穿(うが)つのみの無材暗渠(モグラ暗渠ともいう)が主であり、長尺可撓(かとう)プラスチック管の連続埋設機が普及している。

 集水暗渠は、河川伏流水など比較的浅い地下水用水として取水するために埋設される横形式の井戸で、構造的には排水暗渠と大差はない。中近東オアシスの水源施設として名高いカナート(地下水路)は、これのきわめて大きなものにほかならない。

 通水暗渠は、種々の目的で地下に設けられる水路である。下水管渠が代表的なものであるが、最近は都市内の街路沿いの排水溝に蓋(ふた)をして暗渠とし、街路の拡幅にあてる例も多い。

[冨田正彦]


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普及版 字通 「暗渠」の読み・字形・画数・意味

【暗渠】あんきよ

地下の溝。宋・梅尭臣〔正仲屯田と広教寺に遊ぶ〕詩 春るべし 惜しまず、衣裾に濺(そそ)ぐを 古寺、深樹に入り 野泉、渠に鳴る

字通「暗」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「暗渠」の意味・わかりやすい解説

暗渠【あんきょ】

地下に埋設された,あるいは地表にあっても蓋(ふた)をした導水路。閉水路ともいい,排水,下水,用水などに利用される。

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世界大百科事典(旧版)内の暗渠の言及

【暗きょ排水(暗渠排水)】より

…耕地の過剰な水分を排水するとともに,地下水位を下げるために,圃場(ほじよう)内の地下に埋設した吸水管(暗きょ)を用いて地下排水を行うこと。水田や畑,樹園地などにおいて,作物の健全な生育をはかり,また農作業の便のために適当な土壌水分状態を保つことを目的として世界的に広く行われている。近年,水田への畑作物の導入にあたってはとくに重要な排水手段となっている。暗きょ排水は,重力で降下する水を,地下約60~120cmの深さに埋設した吸水管(この管と埋設してある溝を含めて吸水きょと称する)に集めて行う(図)。…

※「暗渠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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