曲垣平九郎(読み)マガキヘイクロウ

デジタル大辞泉 「曲垣平九郎」の意味・読み・例文・類語

まがき‐へいくろう〔‐ヘイクラウ〕【曲垣平九郎】

江戸初期の馬術家。名は盛澄。高松藩士のとき、将軍徳川家光の命で、愛宕山上の梅花を折りに乗馬のまま石段を上下したことにより有名。生没年未詳。

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精選版 日本国語大辞典 「曲垣平九郎」の意味・読み・例文・類語

まがき‐へいくろう【曲垣平九郎】

  1. 江戸初期の馬術家。名は盛澄。讚岐高松の城主生駒氏の家来として将軍家芝増上寺参詣につき従い、帰途愛宕山石段を騎乗のまま上下し、将軍家光に賞せられたという。のち生駒氏が滅びたために越前徳川忠長に仕え、これも滅びたため浪人したと伝える。生没年未詳。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「曲垣平九郎」の意味・わかりやすい解説

曲垣平九郎
まがきへいくろう

生没年不詳。江戸初期の馬術の達人。名は盛澄。讃岐(さぬき)国(香川県)高松の城主生駒壱岐守(いこまいきのかみ)高俊(たかとし)の家来で、1634年(寛永11)正月晦日(みそか)、将軍家光(いえみつ)の芝増上寺参詣(さんけい)の帰途、愛宕(あたご)山の男坂、86段の石段を馬で駆け上り、咲きにおう梅花の枝を手折ってきて賞賛を博した。1640年、生駒家が御家騒動で滅びると、越前(えちぜん)国(福井県)の松平忠直(ただなお)に仕えたが、忠直も罰せられたので浪人したといわれる。また『嬉遊笑覧(きゆうしょうらん)』には、備前(びぜん)国(岡山県)の藩士市森彦三郎という者、愛宕山の石段を馬で駆け上るのを念願とし、ついに果たしたと記されている。講談の曲垣平九郎はこの彦三をモデルにし、極端に脚色、『寛永(かんえい)三馬術』の名作になったとも思われる。

稲垣史生


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百科事典マイペディア 「曲垣平九郎」の意味・わかりやすい解説

曲垣平九郎【まがきへいくろう】

江戸初期の馬術家。生没年不詳。讃岐(さぬき)高松藩士で,名は盛澄。筑紫市兵衛,向井蔵人とともに,講談《寛永三馬術》の主人公として名高い。1634年,将軍徳川家光の求めに応じて,江戸愛宕(あたご)山の石段を乗馬のまま登り,梅花を折ってきたと伝えられる(〈出世の春駒〉の段)。主家の移封後,越前(えちぜん)福井藩に仕え,のち浪人となって死んだという。

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朝日日本歴史人物事典 「曲垣平九郎」の解説

曲垣平九郎

生年:生没年不詳
江戸前期の馬術家。名は盛澄。讃岐高松藩の丸亀城主生駒氏に仕える。寛永11(1634)年1月28日,将軍徳川家光が芝増上寺参拝の帰りに愛宕山を過ぎる際,騎馬で山上の梅花を折ってくる者を求めた。3人が試みたが,いずれも落馬し登れる者はひとりもいなかった。改めて翌日行うことを決めての帰り際に,平九郎が申し出て馬に乗り,一気に石段を登って紅梅,白梅を一枝ずつ取り家光に差し出した。家光は「日本一の馬術の名人だ」とほめ,名刀一振りを与えたという。のち尾張藩で900石を得た。<参考文献>『新修丸亀市史』

(藤堂良明)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「曲垣平九郎」の解説

曲垣平九郎 まがき-へいくろう

?-? 江戸時代前期の馬術家。
讃岐(さぬき)高松藩主生駒(いこま)高俊の家臣。寛永11年(1634)将軍徳川家光の目の前で芝の愛宕(あたご)山の石段を馬でのぼり,梅花の枝をとってきて賞賛された。のち福井藩につかえたが,浪人して流浪のすえ没した。名は盛澄。多分に伝説的人物で,講談「寛永三馬術」で有名となる。

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世界大百科事典(旧版)内の曲垣平九郎の言及

【愛宕山】より

…山上に1603年(慶長8)に京都の愛宕神社を勧請した愛宕神社がまつられ,東側社前の急斜面には男坂,女坂がある。86段ある男坂の石段は,講談《寛永三馬術》の曲垣(まがき)平九郎の話で名高く,社前に曲垣平九郎手折りの梅もあるが,神社には平九郎に関する記録は残っていない。山上には小さな公園があり,また1925年7月,ここに設けられた東京中央放送局の放送所から日本初のラジオ本放送が開始された。…

【寛永三馬術】より

…講談。曲垣(まがき)平九郎,向井蔵人,筑紫市兵衛を主人公とした典型的な武芸講談。そのうち平九郎が将軍徳川家光の命で芝愛宕山の男坂を馬で乗り上がり梅花を手折る《出世の春駒》が名高い。…

※「曲垣平九郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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