更衣・衣更・衣替(読み)ころもがえ

精選版 日本国語大辞典 「更衣・衣更・衣替」の意味・読み・例文・類語

ころも‐がえ ‥がへ【更衣・衣更・衣替】

[1] 〘名〙
① 着ている衣服を別の衣服に着かえること。着がえ。
源氏(1001‐14頃)葵「時雨うちして、物あはれなる暮つ方、中将の君、鈍色の直衣、指貫うすらかに衣かへして、いとををしう、あざやかに、心はづかしきさまして、まゐり給へり」
② 季節に応じて、衣服をかえること。中古以降、四月一日から冬の小袖(こそで)をやめて袷(あわせ)にかえ、寒い時は下に白小袖を用い(白重(しらがさね))、五月五日から帷子(かたびら)を着、涼しい時は下衣を着(一重がさね)、八月一五日から生絹(すずし)にかえ、九月一日から袷を、同九日から綿入れを着、一〇月一日から練絹(ねりぎぬ)に着かえることが年中行事であった。江戸時代には、四月一日に夏の衣にかえ、一〇月一日に冬の衣にかえるようになった。これは、宮中行事であったものが民間にも普及したもの。現代では、六月一日に学校や会社などで制服を夏服に替え、一〇月一日に冬服に替える。《季・夏》
※宇津保(970‐999頃)国譲下「しばし念じ給へ。ころもがへのほどにを参らせ奉らん」
③ 男女が互いに衣服を交換して着ること。情交を意味した。
※催馬楽(7C後‐8C)更衣「己呂毛可戸(コロモカヘ)せむや さきむだちや 我が衣は 野原篠原 萩の花摺りや さきむだちや」
[2] 催馬楽の曲名
狭衣物語(1069‐77頃か)二「琵琶を取り寄せて、『衣がへ』を一わたり落して、『萩が花摺り』と謡ひつつ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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