古代朝鮮、新羅(しらぎ)の地名。『日本書紀』第四の一書に、高天原(たかまがはら)追放後、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が天降(くだ)った土地とある。曽は金の朝鮮古音(そい)の音借字、尸は連辞(格助詞ノ)、茂梨は山(鷲益嶺(すりもり)――黄海道鳳山(こうかいどうほうさん))。すなわち金の山、輝く山の意。神降臨にふさわしい聖所である。皇孫が降臨する高千穂(たかちほ)の添山(そほりのやま)(一書六)の「添」も、金の梵(ぼん)称スバルナの漢訳「蘇伐羅(すばるな)」に由来をもつ語であり、添山は曽尸茂梨と同意である。神降臨の地に韓名をもつのは、わが国の垂直降臨伝承と韓土との関連を示唆する。
[吉井 巖]
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