曽我廼家五郎(読み)ソガノヤゴロウ

デジタル大辞泉 「曽我廼家五郎」の意味・読み・例文・類語

そがのや‐ごろう〔‐ゴラウ〕【曽我廼家五郎】

[1877~1948]喜劇俳優・作者大阪の生まれ。本名、和田久一。明治37年(1904)曽我廼家十郎とともに劇団曽我廼家結成、大阪の個性を強く身につけた俳優兼作家として活躍。のちに十郎と分かれ、「五郎劇」と称した。また、一堺漁人いっかいぎょじん筆名で、多数の喜劇脚本を書いた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「曽我廼家五郎」の意味・わかりやすい解説

曽我廼家五郎
そがのやごろう
(1877―1948)

喜劇俳優。本名和田久一。大阪の堺(さかい)に生まれる。最初、歌舞伎(かぶき)の中村珊瑚郎(さんごろう)の一座に入り珊之助と称したが、のち大阪俄(にわか)に接して「笑わせる芝居」の創立を発起、同部屋の中村時代(ときよ)(後の十郎)を誘い、種々失敗ののち1904年(明治37)大阪・浪花座(なにわざ)で曽我廼家一座を旗揚げし、大正から昭和へかけて日本の喜劇王として君臨した。脂っこい芸風を特徴とし、脚本・主演を兼ねた「五郎劇」は、笑いのなかに低俗な教訓しかないといわれながらも、既成の歌舞伎や新派に伍(ご)して「喜劇」という一つのジャンルを開拓した功績は大きい。一堺漁人(いっかいぎょじん)筆名による脚本は1000種を超える。

[向井爽也]

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