曾根坂峠(読み)そねざかとうげ

日本歴史地名大系 「曾根坂峠」の解説

曾根坂峠
そねざかとうげ

現在の秩父市栃谷とちやと皆野町三沢みさわとの境にある標高二九二メートルの小さな峠。江戸時代には秩父大宮おおみや(現秩父市)小川おがわ宿(現小川町)川越城下を結んだ秩父川越道が通り、明治期までは同じ街道上に位置する東方の粥新田かゆにた峠とともに交易上重要な役割を果していた。秩父方面からは和紙の原料の楮が小川方面に、小川方面からは米が秩父方面に、馬によって輸送された。また三沢では絹織物業が盛んだったため、生糸や絹織物なども当峠越で運ばれた。小川方面から秩父大宮に行くには当峠越の道が最短ルートになる。しかし、秩父札所巡礼の場合、当峠のやや南にある尾野田おのだ(小野田峠)を利用して札所一番四萬部しまぶ(現秩父市)に向かうのが順路であり、三沢地内の両峠分岐点には一里塚とともに元禄一五年(一七〇二)銘の道標が残っている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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