月雪花寝物語(読み)つきゆきはなねものがたり

改訂新版 世界大百科事典 「月雪花寝物語」の意味・わかりやすい解説

月雪花寝物語 (つきゆきはなねものがたり)

歌舞伎役者初世中村仲蔵自伝随筆。成立年不詳。仲蔵安永・天明期(1772-89)の名優で,ことに,その自叙伝的部分の筆致は,特殊な口語風の文体をまじえて,下回り役者から出発した辛苦にみちた半生経歴を赤裸々に,また告白的に物語ったユニークな記述である。歌舞伎俳優の自伝として,先駆的な珍重すべき文献であり,《秀鶴日記(しゆうかくにつき)》《秀鶴随筆》などの著述と並んで,天明期の歌舞伎と俳優の私生活を知るうえにも欠かせない好資料。《日本庶民生活史料集成》第15巻に翻刻がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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