有まじ（読み）あるまじ

精選版 日本国語大辞典

ある‐・まじ【有まじ】

〘連語〙 (ラ変動詞「あり（有）」の連体形に打消推量の助動詞「まじ」の付いたもの。口語では、連体形「あるまじき」が、文章語的に用いられる)

① あるはずはない。普通には、そうありそうもない。

※土左（935頃）承平五年二月一六日「しまさかにて、人あるじしたり。かならずしもあるまじきわざなり」

② あるべきでない。当然あってはならない。不都合である。とんでもない。あるまじい。

※宇津保（970‐999頃）蔵開上「かの人をば兵部卿の宮にさのたまひき。さてはあるまじきことなりと、〈略〉大将さのたまふときく」

※源氏（1001‐14頃）桐壺「かかる折にも、あるまじき恥もこそと心づかひして」

③ いられそうもない。生きられそうもない。

※竹取（９Ｃ末‐１０Ｃ初）「なほ、この女見では、世にあるまじき心地のしければ」

出典　精選版 日本国語大辞典