有備館(読み)ゆうびかん

日本歴史地名大系 「有備館」の解説

有備館
ゆうびかん

[現在地名]岩出山町 上川原町

岩出山要害の北東、中心街の北西上川原かみかわら町にある岩出山伊達氏の学問所近世の学校建造物としては現存する最古のもので、旧有備館として国指定史跡、また庭園も国指定名勝となっている。寛文三年(一六六三)岩出山伊達氏二代宗敏は、焼失した要害二の丸の一角に仮屋を築造、のちに隠居所とした。三代敏親は元禄四年(一六九一)にこの仮屋を修築、春学しゆんがく館と名付け寺子屋教育を終えた藩士子弟のための学問所となし、翌五年には当時下屋敷であった現在地に移築、名も有備館と改めている(「宮城県史」など)

有備館
ゆうびかん

国指定史跡。新明倫館再建に際し旧明倫館の内剣術場と槍術場を合体して当地に移築した。明倫館唯一の遺構で、建物の北半分は剣術場、南半分は槍術場で、各西側を、藩主の上覧場(家老などの検分を含む)とした。ここは藩士の練武のほか他国から修行に来たものとの試合場すなわち「他国修行者引請場」でもある。土佐の坂本竜馬は文久二年(一八六二)一月に萩を訪れ、その間にここで剣術の試合をしたといわれる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「有備館」の解説

有備館
ゆうびかん

宮城県大崎市岩出山にある旧岩出山館主伊達氏の学問所。現存する最古の近世学校建造物。1691年(元禄4)仙台藩主隠居所を修築し春学館と名づけ,藩士子弟のための学問所とした。翌年現在地に移築,有備館と改称した。名は「史記」の「文事あれば必ず武備有り,武事あれば必ず文備有り」からとったという。旧館国史跡,庭園は国名勝。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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