有年原・田中遺跡(読み)うねはら・たなかいせき

日本歴史地名大系 「有年原・田中遺跡」の解説

有年原・田中遺跡
うねはら・たなかいせき

[現在地名]赤穂市有年原 田中

千種ちくさ川の支流である矢野やの川の北岸から北に位置するおく山の山裾一帯までの、標高一八メートル前後の平野部に立地する。弥生時代中期頃から集落が営まれ、室町時代に至っても遺構は確認されている。遺跡の中心は弥生時代中期から奈良時代にかけてである。有年原地区周辺は古くから古墳の密集地として知られていたが、平地における集落遺跡発掘調査は皆無であった。昭和六二年(一九八七)に当遺跡の北部にあたるはら小学校敷地内の発掘、同六三年に南部地区の発掘調査が実施された。南部地区では弥生時代および古墳時代の竪穴住居跡・掘立柱建物跡・土壙・溝・河道などが発見されている。北部地区では奈良時代に属する四時期の掘立柱建物跡群・溝などがある。

〔北部地区〕

原小学校校庭遺跡とよばれていた北部地区は、弥生時代から中世に至る集落跡で、中心は飛鳥期後半から奈良時代前半の掘立柱建物跡群である。昭和六二年に第四次の全面調査が実施された。掘立柱建物跡は三十数棟が発見されたが多くの重複があり、また建物はほとんどが南北棟であるが方位は三群に分類できる。A群はほぼ真北方向を向くが、重複があって二群に細分される。B群は真北より東に振る配置をとり、C群は磁北方向の建物群である。これらは配置から四群に分類される。I群は調査区の北地域を中心とする四棟の建物で構成されている。この群の中心的建物はSB一〇で、規模も大きく東側に雨落溝を伴っている。なお調査区南西隅の石列とSB一七は、現存地割方位に対して四五度の振れがある。II群はC群に属するもので、すべての建物が南北棟である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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