母集団の平均μが,ある値μ0に等しいという帰無仮説を無作為標本x1,……,xnの平均,に基づいて検定する場合を考える。xは確率変数なので一般に母平均とは一致しない。そこでxとμ0の隔たりのどの程度までを確率的変動とみなすかという差を指定することが行われる。これは帰無仮説の下でそれ以上の差が生ずる確率がある小さな値α以下であるように定める。この差のことを帰無仮説の下ではめったに生じない有意な差という意味で有意差と呼ぶ。αは0.05または0.01にとることが多い。たとえばx1,……,xnが正規分布N(μ0,σ2)に従っているとき,平均の差x-μ0の絶対値がを超えるものは有意水準αで有意差があるという(統計的検定)。σを不偏分散の平方根で推定する場合はを超える差が有意差である。二つの母集団からの標本x1,……,xn;y1,……,ymの平均の差x-yに基づいて,母平均の差が0という帰無仮説を検定する場合にも,上と同様の考え方でx-yに対する有意差が定義される。
執筆者:広津 千尋
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