江戸前期、摂津(せっつ)国島上(しまかみ)郡服部村(大阪府高槻(たかつき)市)を中心とした地域に多くつくられた煙草をいう。『農業全書』(1697)、『摂陽群談』(1701)、『和漢三才図会(ずえ)』(1713)などにもみえ、日本第一の質・量ともに優れた煙草で、香味とも芳しとしているが、味は辛いという。この地は、大阪平野に臨む山麓(さんろく)地帯にあり、京都、大阪の消費地を近くにもち、商品作物として卓越していた。しかし中期になると、他地方の煙草生産が進み、それに需要者の嗜好(しこう)の変化、煙草栽培の肥料や人件費の高騰などでしだいに衰え、後期になると自家用程度の生産となった。
[小林 茂]
『脇田修・小林茂著『大阪の生産と交通』(『毎日放送文化双書4』1973・毎日放送)』
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