朝鮮仏画(読み)ちょうせんぶつが

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「朝鮮仏画」の意味・わかりやすい解説

朝鮮仏画
ちょうせんぶつが

荘厳画系統の作品を除くと,狭義の朝鮮仏画は高麗時代以前の遺品を欠き,文献や傍系的絵画資料から推測するほかはない。日本伝来の中宮寺の『天寿国繍帳』や法隆寺の『玉虫厨子』の図像は,三国時代の朝鮮系画師が関与した朝鮮仏画の傍系資料であり,文献によると,新羅時代には金堂内壁に弥勒普賢菩薩聖容を描いて供養したり,十一面観音を描いて礼拝したらしい。高麗時代は仏画の全盛期で,金泥仏画や彩色観音図に高麗仏画の特色をとどめる。高麗の国家的事業として遂行された『大蔵経』写経の各種変相図や魯英筆『釈迦来迎図』は金泥仏画の好例。高麗観音画像は流麗,繊細な筆づかいで,楊柳観音とか水月観音の名で親しまれたものが多く,僧慧虚 (えきょ) 筆『楊柳観音図』 (東京浅草寺) や伝張思恭筆として各地に伝えられる『水月観音図』などがある。李朝時代に入ると仏画は急速に衰え,通度寺霊山殿の『八相仏幀』など,各地の寺院にわずかに残る仏幀 (絹地に描いた仏画) が注目される程度である。

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