杉科(読み)すぎか

精選版 日本国語大辞典 「杉科」の意味・読み・例文・類語

すぎ‐か ‥クヮ【杉科】

〘名〙 裸子植物の一科。世界に一〇属一六種が現存し、アジア東部、タスマニアおよび北アメリカにそれぞれ隔離分布する樹木で、鱗片葉を持つ。鱗片葉は鎌形の針状または披針形で羽状または輪生。雌雄同株。雄花は一個が頂生または腋生するか、あるいは頭状花序または円錐花序をなし、二~九個の葯(やく)がある。花粉には気室がない。ふつう雌の球花は一個頂生し多数の苞鱗片に被われて多数の種子鱗片が螺旋状に排列していて、一部または完全に合着する。各種子鱗片に二~九個の卵子がつく。果実は球果で木質、種子には翼がある。この科を次の七つの群に分け、それぞれ独立の科として扱う説もある。日本特産で全く化石が知られていないスギ属だけを含む狭義の「スギ科」、やはり日本特産、葉は常緑で輪生し、染色体数(n=5)で他と異なるコウヤマキ属だけからなる「コウヤマキ科」、球果には苞鱗片と種子鱗片の区別がないタイワンスギ属だけからなる「タイワンスギ科」、種子鱗片に三個の卵子がつくコウヨウザン属を含む「コウヨウザン科」、現存種が北アメリカ西海岸にだけ自生する常緑のセコイア属、セコイアデンドロン属からなる「セコイア科」、この科に非常に近縁と考えられ、中国四川省だけから発見された落葉性メタセコイアただ一属からなる「メタセコイア科」、および、落葉性で北アメリカに自生するヌマスギ属を含む「ヌマスギ科」。これらは建材、造園木、外船木、楽器材など用途が広い。また、近縁種が化石で知られているが、中でもメタセコイアは生きている化石として現在では世界各地に栽培される。セコイア、セコイアデンドロンには世界最大樹として知られているものがある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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