日本大百科全書(ニッポニカ) 「村川堅太郎」の意味・わかりやすい解説
村川堅太郎
むらかわけんたろう
(1907―1991)
わが国を代表する西洋古代史家。東京生まれ。1930年(昭和5)東京帝国大学西洋史学科卒業。35年から68年(昭和43)まで東京大学の教壇に立ち、該博かつ厳密な学風をもって後進の育成にあたった。日本学士院会員。ギリシア・ローマの社会経済史的研究を本領とし、「羅馬(ローマ)大土地所有制」(『社会構成史大系』Ⅱ)、「デーミウールゴス」(『史学雑誌』64―11)など、精密な史料分析と適確な理論的考察とに支えられた多数の論文によって、わが国西洋史学の水準を一挙に高めた。アリストテレス『アテナイ人の国制』をはじめ、ギリシア古典の翻訳ならびに注釈に関する業績も数多い。
[伊藤貞夫]