杣保(読み)そまほ

日本歴史地名大系 「杣保」の解説

杣保
そまほ

中世から史料に散見する地名で、現在の奥多摩町・青梅おうめ市・羽村はむら市一帯に比定される。比定地は多摩川の上流域にあたり、ほとんどが山地で、古くから材木など山林資源の供給地で、また保とあるので武蔵国衙の経営であったと思われる。青梅市の塩船しおぶね観音堂が所蔵していた大般若経二〇〇巻のうち、応安六年(一三七三)八月二〇日の年記がある奥書には武州三田領杣保内塩船村と記されていたという(風土記稿)。中世、当保一帯に勢力を有していたのは勝沼かつぬま(現青梅市)に拠った三田氏で、勝沼乗願じようがん寺は正安二年(一三〇〇)に三田下総守長綱が創建したとの縁起があり、青梅市今寺報恩いまでらほうおん寺旧所蔵の鐘は元亨二年(一三二二)に三田弾正忠清綱が寄進している(鐘銘)。応永二五年(一四一八)九月二九日、三田朝定は「杣保長淵郷すたかのゝ村」のうちの田・屋敷を宝林ほうりん(法林寺)に寄進している(「三田朝定寄進状」宝林寺文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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