知恵蔵2010の解説
欧州のような政治経済統合を東アジアでも適用しようという共同体構想。2005年12月、クアラルンプールでの東アジアサミットでもこれを目指すことが確認された。しかし、枠組みをASEAN+3(日中韓)とする中国とインド、オーストラリアを加えたい日本とで意見は分かれ、実際の構築は先送りされた。もともと宗教、民族、体制などで多様性が欧州より著しいこの地域だが、ASEANが経済を中心とした地域協力を進めた。1990年代後半のアジア通貨危機以降この動きが加速され、金融協力の推進など多国間の枠組みに中国も含め積極的となってきた。サッカーなどのスポーツ交流や文化的な交流、インターネットなどの通信網の拡大も顕著となった。一方で、統合が困難に逢着(ほうちゃく)する中、歴史認識問題や高まるナショナリズムへの不安も存在する。05年インドなどがオブザーバー参加した中ロ、中央アジアの上海協力機構や、6者協議といった東アジアの安全保障組織との関連はまだ不明確であるし、米国もこの構想に批判的であるといった政治的懸念もある。特に経済面ではこの機構がFTA・EPAなど、東アジアで有力な2国間ベースの動きとどう結び付くかが課題であろう。
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高橋進東京大学大学院法学政治学研究科教授
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出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2007」
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