松屋久政(読み)まつや・ひさまさ

朝日日本歴史人物事典 「松屋久政」の解説

松屋久政

没年:慶長3.4.4(1598.5.9)
生年大永1(1521)
安土桃山時代の茶人。通称源三郎。奈良の手貝郷に住む裕福な塗師の家に生まれ,若き日から茶の名人を訪ね,その茶会の記録『松屋会記』を書き残した。そのなかには武野紹鴎 や千利休の記事もあり,初期の茶の湯を知る貴重な史料である。松屋村田珠光の茶風を伝承する家とされ,いわゆる松屋三名物(徐煕の鷺の絵,松屋肩衝,存星の盆)を所持することでも著名であった。子孫の久好,久重も茶人として活躍し,松屋の伝承を整理して久重が『茶湯秘抄』『茶道四祖伝書』などの茶書を残した。<参考文献>永島福太郎「松屋研究」(『茶道雑誌』1954年5月号~1955年3月号),同校訂『松屋会記』(茶道古典全集9巻)

(熊倉功夫)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「松屋久政」の解説

松屋久政 まつや-ひさまさ

1521-1598 戦国-織豊時代商人,茶人。
大永(たいえい)元年生まれ。大和奈良の塗師(ぬし)松屋の3代。千利休と親交があり,珠光流(じゅこうりゅう)茶道の伝承者とされた。天正(てんしょう)15年豊臣秀吉の北野大茶会に奈良三十六衆のひとりとして参会天文(てんぶん)2年3月20日茶会記「松屋会記」を起筆した。慶長3年4月4日死去。78歳。姓は土門。通称は漆屋源三郎

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