松平大和守日記(読み)まつだいらやまとのかみにっき

改訂新版 世界大百科事典 「松平大和守日記」の意味・わかりやすい解説

松平大和守日記 (まつだいらやまとのかみにっき)

江戸前期の大名の日記。松平大和守直矩(なおのり)が1658年(万治1)17歳から95年(元禄8)54歳で没するまで書き続けた生活記録。通称《大和守日記》《直矩日記》。内容は,公式行事,私生活にわたって詳しい。特に屋敷に芸能人を招いての観劇記録は,近世演劇研究の一等資料として,利用価値が高い。ほかに,頻出する鷹狩の記録,越後騒動に関する記事,野々口立甫(ののぐちりゆうほ)に関する記述など,近世文芸や歴史研究に資するところの多い貴重な資料である。原本は焼失したとみられ,現存の3種の写本は,いずれも抄録などのため不完全。誤写,錯簡の可能性も示唆されている。《日本庶民文化史料集成》第12巻に越後写本,《近世初期国劇の研究》に若月保治写本が活字化されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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