松永和風(和楓)(読み)まつながわふう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「松永和風(和楓)」の意味・わかりやすい解説

松永和風(和楓)
まつながわふう

長唄(ながうた)唄方。4世を数えるが、3世と4世が著名。

[渡辺尚子]

初世

(?―1808)松永派の流祖。水戸出身で謡曲が巧みであったという。長唄を学び、松永忠五郎(ちゅうごろう)を名のる。1795年(寛政7)和風と改名天明(てんめい)・寛政(かんせい)期(1781~1801)の名人に数えられている。2世は2世松永忠五郎(?―1857)の後名といわれるが、不明。

[渡辺尚子]

3世

(1839―1916)もと清元叶太夫(かのうたゆう)。5世松永忠五郎の女婿。6世鉄五郎から7世忠五郎となり、1880年(明治13)和楓と改名。晩年は鉄翁(てつおう)と称した。大音美声で、清元の節回しを応用した独特の長唄をうたい名声を博したが、晩年は不遇であった。

[渡辺尚子]

4世

(1874―1962)初め長唄三味線方。のち唄方に転向。初名和孝。改名を重ね、1929年(昭和4)5世芳村(よしむら)孝次郎から4世和楓を襲名。2年後、和風と改めた。美声家で独特の節回しにより、昭和初期の長唄界を風靡(ふうび)した。

[渡辺尚子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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