枳根郷(読み)きねごう

日本歴史地名大系 「枳根郷」の解説

枳根郷
きねごう

和名抄」高山寺本は「岐祢」、東急本は「木子」と訓ずる。「延喜式」神名帳の能勢郡に岐尼きね神社が載せられており、同社が現能勢町森上もりがみに鎮座するため、「日本地理志料」「大日本地名辞書」などの諸書において、郷の所在地についての異説は見あたらない。大路次おおろじ川に合流する山辺やまべ川と山田やまだ川沿いの水田地帯が、この郷の主たる耕地をなしたものであろう。この付近には能勢郡唯一の前方後円墳である森上の狐塚きつねづか古墳をはじめとする古墳時代の遺跡が多く、山田(現能勢町)日野ひの遺跡では八世紀前半の須恵器登窯が発見されているし、山田川沿岸には条里制遺構が明瞭である。また応徳元年(一〇八四)一二月一九日の摂津国採銅所預等連署解案(壬生家文書)は、能勢郡採銅所によって山辺山口(現能勢町山辺)・枳根山口(同町森上から山田付近であろう)・川道山口など四ヵ所の山において銅が採掘されていたことを記している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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