柱状大腿骨(読み)ちゅうじょうだいたいこつ

改訂新版 世界大百科事典 「柱状大腿骨」の意味・わかりやすい解説

柱状大腿骨 (ちゅうじょうだいたいこつ)
femur with a pilaster

大腿骨骨幹部後面を縦走する粗線が隆起し,あたかも割り箸を貼り付けたようになった大腿骨のこと。骨幹の断面は洋梨形あるいはフラスコ状になる。建物を補強するために壁の外側に柱のような構造物(付柱(つけばしら),pilaster)を付けることに由来しているので,付柱状大腿骨ともいう。このような現象を大腿骨の柱状性という。大腿骨最大長の中央における矢状径(前後径)と横径(内外側径)との比(%)を柱状示数とし,示数が大きい場合に,柱状性が高いという。粗線は,膝を伸ばす大腿四頭筋のうちの外側広筋と内側広筋の起始部であり,大腿内転筋の停止部でもあるので,これらの筋肉の発達が良いと粗線が隆起すると考えられる。とくに縄文人や後期旧石器人に柱状大腿骨が多くみられ,生業形態との関連性が議論されている。
縄文人 →人体計測法
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柱状大腿骨」の意味・わかりやすい解説

柱状大腿骨
ちゅうじょうだいたいこつ

ヒト大腿骨中央部後面の粗線と呼ばれる部分が発達して縦に続く隆起をつくり,あたかも大腿骨の表面にさらに添え柱をつけたようにみえる大腿骨のこと。そのような大腿骨の中央付近の断面は,前後径が大きくなり,横径との百分率 (大腿骨柱状示数) は 100%より大きく,120%をこえることもある。この形質は石器時代現生人類に顕著であり,ネアンデルタール人類以前や現代人にはまれである。また類人猿にもみられない。成因は,粗線に付着する大腿広筋や内転筋などによって形成されるとする説,構造的補強のためとする説などがある。 (→扁平脛骨 )  

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