栄養士法により身分の確立された国の認定する資格の一つで、栄養士と管理栄養士の2種類がある。そのおもな業務は栄養指導で、個人あるいは集団に対して食生活の改善や栄養管理などに取り組み、人々の健康の保持、増進を目的としている。
日本の栄養士の歴史は1924年(大正13)に創設された佐伯(さえき)栄養学校の卒業生の13名が、26年(大正15)に栄養士として社会に出たのに始まる。当時は国家的身分ではなく、その保障もなかったが、45年(昭和20)「栄養士規則」の制定により制度化され、47年に栄養士法が制定された。管理栄養士については62年に資格が新たに追加され、2000年(平成12)の栄養士法の改正によって、栄養士に加えて管理栄養士をそれまでの登録制から免許化した。両者の区分について、管理栄養士は疾病者の栄養指導、給食管理など栄養士よりも高度の専門知識や技術を必要とする業務を行うとしている。
栄養士の免許は栄養士の養成施設(2年以上)を卒業した者に都道府県知事が与える。管理栄養士の免許は国家試験に合格した者に厚生労働大臣が与える。国家試験の受験資格は、4年間の管理栄養士養成施設を卒業したもの、または栄養士であって養成施設の規定年数と実務年数が合計5年以上の者となっている。
栄養士の活動範囲は非常に広く、保健所・教育委員会などの行政関係、病院・診療所などの医療機関、福祉施設や各種給食施設における栄養指導のほか、栄養・食糧関係の研究機関、食品会社のメニュー開発・消費者窓口やスポーツセンターの栄養相談などの業務に携わっている。
今後の方向として、栄養士と管理栄養士の業務の分離や、給食、臨床、公衆、経営などの専門分野での資格化など資質の向上が検討されている。また、免許取得後も一定期間ごとに学習を義務づける制度なども検討されている。
[山口米子]
『日本栄養士会編・刊『栄養士制度発展のあゆみ――栄養士会50年のあゆみ』(1994)』▽『荒井光雄・落合敏・山本博美編『管理栄養士・栄養士』(1998・東京書店)』▽『河合知子・佐藤信・久保田のぞみ著『問われる食育と栄養士――学校給食から考える』(2006・筑波書房)』
栄養士の名称を用いて栄養指導に従事することを業とする者をいう(栄養士法,1947)。それゆえ,現在の日本においては,栄養士は栄養指導を通して,国民の健康の保持・増進,また,健康の阻害された人に対しては,疾病を治療し,あるいは予防することが求められている。
医療関係機関においては,医療チームの一環として食事療法をおこない,公衆衛生関係機関においては,地域保健活動,あるいは地域医療活動の一環として,住民に栄養指導をおこない,給食管理の分野においては,集団の栄養管理者として,活動することになる。
国際的には,専門職としての栄養関係者は,dietitianとcommunity nutritionist(あるいはpublic health nutritionist)とに大別されている。一般に,dietitianは,4年制の大学において,その基本的な教育がおこなわれ,卒業後病院において6ヵ月(あるいは12ヵ月)の実地修練を積み,認定試験に合格して,その称号が授与されている。dietitianは,臨床栄養の実際活動の専門家である。一方,community nutritionistは,4年制大学を修了した後に,school of public health(大学院レベルの養成校)を卒業した人に対して与えられる称号で,地域活動の専門家である。
日本では,高等学校卒業後,厚生大臣の指定した栄養士養成施設において,2年以上栄養士に必要な知識,および技能を修得した後,都道府県知事に申請すれば,栄養士の称号が与えられる。一方,1962年に管理栄養士制度が栄養士法に加えられ,栄養士の業務のうち,複雑または困難なものをおこなう適格性を有する者が,管理栄養士として登録されるようになっている。
執筆者:坂口 ちはる
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