検屍とも書く。医師が死体の外表面を検査して死因,死後経過時間などを判断すること。検案ともいう。検死の対象となる死体は,医師が医師法21条に基づき届け出た異常死体である。例えば,外因死(不慮の事故死・自殺・他殺など)と推定される死体や,外因死か病死か判断しがたい死体のほか,病死の可能性が高いが診療をまったく受けていないため生前の健康状態が医学的に明らかになっていないもの,診療を受けたことがあっても相当以前で,その後の病状が把握されていないもの,死因が不明のものなどである。これらの死体は監察医制度のしかれている地域では監察医が,その他の地域では一般臨床医が検死している。監察医は検死によって死因を明らかにしえない場合には解剖(行政解剖)することができるが,その他の地域ではほとんど解剖されないので,かなりの誤診があるものと推定されている。なお,刑事訴訟法229条には〈変死者又は変死の疑のある死体があるときは,その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は,検視しなければならない〉と規定されている。変死(体)とは犯罪に関係する死体か否かが明らかでない死体という意味であり,その死体を鑑定のための解剖(司法解剖。刑事訴訟法168条)に付す必要があるかどうかを判断する目的で,検察官が死体や現場の状況をみることを検視といい,検死とは区別されている。
→解剖 →死亡診断書
執筆者:若杉 長英+柳田 純一
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…異常死体に対しては,届出にもとづき警察の調査(検視)が行われる。この際,原則として医師が立ち会い,死体外表の検査(検死)を行う。犯罪による死亡が疑われる場合や,死亡の原因や状況をさらに明確にする必要のある場合には,死体の解剖(司法解剖あるいは行政解剖)を行う。…
※「検死」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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