燕口(読み)ツバメグチ

デジタル大辞泉 「燕口」の意味・読み・例文・類語

つばめ‐ぐち【×燕口】

漆器わん折敷おしきなどで、ツバメの口のように、外側が黒く内側が赤く塗ってあるもの。
ツバメの口に似たやじり

つばくろ‐ぐち【×燕口】

携帯用の袋。絹・木綿などで製し、口を開くとツバメの尾のような形になるもの。

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精選版 日本国語大辞典 「燕口」の意味・読み・例文・類語

つばめ‐ぐち【燕口】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 漆器の椀(わん)で、ツバメの口のように、外側は黒く、内側を赤く塗ったもの。
    1. [初出の実例]「口にも足にも赤くふち有〈つばめくちの如くに〉」(出典:宗湛日記‐天正一五年(1587)二月一一日)
  3. (やじり)で、ツバメの口の形に似たもの。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  4. 魚の頭の部分の名。口の上のところ。

つばくろ‐ぐち【燕口】

  1. 〘 名詞 〙 婦人用袋物の一種。布製で口を開くとツバメの尾のような形になるところからいう。つばくらぐち。
    1. 燕口〈守貞漫稿〉
      燕口〈守貞漫稿〉
    2. [初出の実例]「けい古本をもめんのつばくろ口から取出し」(出典:洒落本・一向不通替善運(1788))

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世界大百科事典(旧版)内の燕口の言及

【袋物】より

…発火器としての燧袋は,匂袋(においぶくろ)とともに腰さげ袋として古くから用いられ,のち金銭や薬品を入れるようになり,鎌倉時代には巾着(きんちやく)の発生をみた。 貨幣経済の発達は金銭携行のための袋物を発達させ,江戸時代には早道(はやみち)(銭入れ,タバコ入れに用いる),胴乱,一つ提(さげ)(タバコ入れの一種で,きせる筒を離し,タバコ入れのみに緒などをつけた袋),藩札入れ,燕口(つばくらぐち)(口を開くとツバメの口のような形になる携帯用の袋)が用いられることになり,タバコの伝来に伴う喫煙の風習は半月,腰差,叭(かます),火の用心,袂落(たもとおとし)等のタバコ入れを生んだ。また,上下一般が鼻紙を用いるようになって懐中物の鼻紙袋ができ,これに鏡,ようじ,小銭を入れる仕掛けをつくって三徳ととなえ,女子の愛用するところとなり,筥迫(はこせこ)に近づいていった。…

※「燕口」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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