権利能力のない社団・財団(読み)けんりのうりょくのないしゃだんざいだん

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

権利能力のない社団・財団
けんりのうりょくのないしゃだんざいだん

人の集団または財産の集合体であって、その実体社団または財団であるにもかかわらず、権利能力法人格)を有しないもの。権利能力なき社団・財団は、営利目的としないため営利法人とならず、また公益を目的としないため公益法人ともならない、いわゆる中間的団体(たとえば学会、同窓会、互助会など)が、特別法による法人格取得の道を開かれていない場合や、公益を目的とする団体が、公益法人となるのに必要な監督官庁の許可が得られずにいる場合に生じる。なお、地縁による団体、いわゆる町内会は、市町村長認可を受けたときは、その目的の範囲内で法人格をもつことができるようになった。権利能力のない社団・財団は、法人格を有しないとはいえ、今日では、できる限り社団法人財団法人に準じて取り扱うべきだとされている。たとえば、団体の内部関係についても外部関係についても、社団法人・財団法人の規定が適用される。ただし、団体財産の所有関係については、法人有ではなく、あるいは総有と解し、あるいは合有と解されている。なお、営利を目的としない民間非営利組織(NPO)は、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的にする場合には、特定非営利活動促進法NPO法、1998年施行)により、比較的簡単に法人格が取得できる道が開かれた。

淡路剛久

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android