横山又次郎(読み)ヨコヤママタジロウ

デジタル大辞泉 「横山又次郎」の意味・読み・例文・類語

よこやま‐またじろう〔‐またジラウ〕【横山又次郎】

[1860~1942]地質古生物学者。長崎の生まれ。東大教授。日本人として初の化石記載論文を発表したほか、古生物学の分類名や用語の日本語訳を創案した。著作に「古生物学綱要」など。

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精選版 日本国語大辞典 「横山又次郎」の意味・読み・例文・類語

よこやま‐またじろう【横山又次郎】

  1. 地質学者、古生物学者。長崎出身。東京帝国大学教授。日本の古生物学研究の基礎を築いた。著「古生物学綱要」「前世界史」など。万延元~昭和一七年(一八六〇‐一九四二

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「横山又次郎」の意味・わかりやすい解説

横山又次郎
よこやままたじろう
(1860―1942)

古生物学者、地質学者。日本の古生物学の基礎を築く。万延(まんえん)元年長崎に生まれる。1878年(明治11)東京大学予備門(後の第一高等学校)を第1回生として卒業、1882年、紀伊半島南西部の調査研究を卒業論文として東京大学地質学科を卒業した。ただちに地質調査所に入り、ナウマンを助けて地質調査事業の基礎をつくった。1886~1889年ドイツのミュンヘン大学留学し、古生物学を学ぶ。帰国して帝国大学理科大学教授となり、古生物学を講義した。初め、白亜紀ジュラ紀動物化石植物化石の研究を行ったが、のちに日本の第三紀の貝化石について研究し網羅的記載を行って、学問的に大きな遺産を残した。『前世界史』などの著述によって地質学の日本への導入に努めた。丹那(たんな)トンネルの工事開始(1918)の初期には、調査にも参画している。

[木村敏雄]

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改訂新版 世界大百科事典 「横山又次郎」の意味・わかりやすい解説

横山又次郎 (よこやままたじろう)
生没年:1860-1942(万延1-昭和17)

地質学者。日本の古生物学の基礎を築いた。長崎に生まれ,1882年東京大学を卒業。地質調査所に入り,86年ドイツに留学し,ミュンヘン大学でチッテルKarl Alfred von Zittel(1839-1904)のもとで古生物学を学び,89年帰国,東京大学教授となる。留学中に研究した北陸地方の中生代植物化石の論文は,日本人として最初の化石記載論文である。以後,古生物学教授として多くの後進を育て,自身も新生代貝化石を中心に多種の化石の研究を発表している。分類学のほか,化石層序,古気候も論じた。《化石学教科書》(1895-98。後に《古生物学》と改題),《前世界史》(1918)などの著作は長く教科書として用いられた。古生物学の術語の日本語訳にも努め,放散虫,紡錘虫,甲冑魚(かつちゆうぎよ),魚竜,翼手竜,始祖鳥,恐竜,剣竜,菊石,貨幣石,封印木,鱗木(りんぼく),蘆木(ろぼく)など多くのものが今も用いられている。
執筆者:

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20世紀日本人名事典 「横山又次郎」の解説

横山 又次郎
ヨコヤマ マタジロウ

明治〜昭和期の地質学者



生年
万延1年4月25日(1860年)

没年
昭和17(1942)年1月20日

出身地
長崎

学歴〔年〕
東京帝大理科大学地質学科〔明治15年〕卒

学位〔年〕
理学博士

経歴
明治15年農商務省地質調査所に入り、エドモンド・ナウマン教授の下で働いたが、19年辞職、ミュンヘン大留学、古生物学を研究。22年帰国、帝大理科大教授となり地質学校室で古生物学講座を担当。大正4年日本地質学会会長、12年定年退官。古生物分類学、層序学研究の基礎を築き、関東南部の新生界の貝化石についての論文が多い。著書に「古生物学綱要」「前世界史」などがある。

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百科事典マイペディア 「横山又次郎」の意味・わかりやすい解説

横山又次郎【よこやままたじろう】

古生物学者。長崎の生れ。東大卒。ドイツに留学しチッテルに学ぶ。東大教授。中生代の動植物化石,新生代の貝化石を研究,特に三浦・房総両半島の貝化石の研究により日本新生代(第四紀)の地史ならびに古生物学的研究の道を開いた。始祖鳥恐竜,菊石(きくいし)ほか多くの術語の日本語訳をつくった。《前世界史》《古生物学綱要》などの著書がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「横山又次郎」の意味・わかりやすい解説

横山又次郎
よこやままたじろう

[生]万延1(1860).4.25. 長崎
[没]1942.1.20. 東京
古生物学者。東京大学地質学科卒業 (1882) 。地質調査所を経てドイツに留学,のち東京大学教授。日本の学者による最初の化石記載論文を著わした日本古生物学界の祖。生涯化石の研究に没頭し,特に新生代の貝化石の研究が多く,分類学,化石層序学の基礎をつくった。貝化石の命名者として学名に yokoyamaの名を数多く残している。武蔵野系貝化石に関する研究は第四紀研究の古典にとどまらず,化石研究の原典として現在も活用されている。主著『古生物学綱要』 (1920) 。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「横山又次郎」の解説

横山又次郎 よこやま-またじろう

1860-1942 明治-昭和時代前期の地質・古生物学者。
万延元年4月25日生まれ。地質調査所勤務をへて,ミュンヘン大に留学,明治22年帝国大学教授となる。わが国最初の化石記載論文を発表。おもに貝化石を研究し,分類・記載学,化石層序学の基礎をきずいた。昭和17年1月20日死去。83歳。肥前長崎出身。東京大学卒。著作に「古生物学綱要」「前世界史」など。

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367日誕生日大事典 「横山又次郎」の解説

横山 又次郎 (よこやま またじろう)

生年月日:1860年4月25日
明治時代-昭和時代の地質学者
1942年没

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世界大百科事典(旧版)内の横山又次郎の言及

【オニキオプシス】より

…現生のタチシノブの外形によく似たシダ化石。1889年横山又次郎の命名。ジュラ紀中期から白亜紀前期にかけて生育し,日本でもジュラ紀後期~白亜紀前期の手取植物群,領石植物群から豊富に知られている。…

【古生物】より

…この場合の過去とは地質学的意味での過去であり,その生物が,現在は化石となっている程度の昔である。日本の古生物学の基礎を築いた横山又次郎はその著《古生物学綱要》(1920)において,前世界という過去の地質時代に地球上に生息した生物,というように表現している。いずれにせよ,化石が具体的なものとして存在しているのに対して,古生物の方はすべての種類が化石として残存しているわけでもなく,また現生生物と同じ生活体として扱うには探究不可能な点が多いので,抽象的な一般的概念となっている。…

※「横山又次郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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