家庭医学館 「機能性音声障害」の解説
きのうせいおんせいしょうがい【機能性音声障害 Functional Dysphonia】
声帯(せいたい)に病変がないのに、発声機能の異常による音声障害を呈する病気の総称で、精神的問題(心因)が多少なりとも関連しているのが特徴です。
心因性失声症、音声衰弱症、けいれん性発声障害が代表的な疾患です。
■心因性失声症(しんいんせいしっせいしょう)(ヒステリー性失声症(せいしっせいしょう))
突然、声が出せなくなります。せきをさせると声帯の運動がよくなります。
精神的ショックが原因となることが多く、若い女性に多い傾向があります。
■音声衰弱症(おんせいすいじゃくしょう)
最初は、ふつうに発声できるのに、徐々に声が弱々しくなっていきます。
これも大部分が心因性です。
■けいれん性発声障害(せいはっせいしょうがい)
のどの圧迫感が強く、しぼり出すような声になります。声帯を動かす筋肉が、発声するときに異常に強く収縮した過緊張状態になっています。
心因やストレスが誘因になっていることが多いものです。心因以外の原因も関与していると考えられていますが、まだ明らかではありません。
[治療]
心因性失声症と音声衰弱症は、精神的に安定させるように努めます。必要があれば、精神神経科の受診を勧めます。精神療法や精神安定剤の使用も行なわれることがあります。
けいれん性発声障害は、発声中の声門閉鎖を弱めるような発声法の訓練をします。効果がみられない場合は、喉頭顕微鏡下手術または外切開で、声帯の筋肉に達する運動神経の末梢部(まっしょうぶ)を切断する手術が行なわれます。