正中(読み)セイチュウ

デジタル大辞泉 「正中」の意味・読み・例文・類語

せい‐ちゅう【正中】

[名](スル)
物のまん中。中心
かたよっていないこと。また、正しくて理想的なこと。
廉恥、公平、―、勇強等の如き外物に接して」〈福沢文明論之概略
天体日周運動子午線を通過すること。南中
[類語](1中心真ん中真ん真ん中ど真ん中中央中点しんただなかまっただなかあいだセンター/(3日の出御来光御来迎初日の出日の入り日没南中

しょうちゅう【正中】[年号]

鎌倉後期、後醍醐天皇の時の年号。1324年12月9日~1326年4月26日。

しょう‐ちゅう〔シヤウ‐〕【正中】

しょうなか(正中)

しょう‐なか〔シヤウ‐〕【正中】

能舞台の中央の位置。しょうちゅう。

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精選版 日本国語大辞典 「正中」の意味・読み・例文・類語

せい‐ちゅう【正中】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 物の中心。まんなか。ただなか。
      1. [初出の実例]「北辰と云は天の正中に居してちっとも不動」(出典史記抄(1477)五)
      2. 「此天地の総円相の正中は、天の正中と云也。正中は則円なる物の中の一点也」(出典:乾坤弁説(1656)亨)
    2. かたよっていないこと。正しく理想的なこと。また、中正であること。
      1. [初出の実例]「此の発句は、伊勢大神宮にて法楽の千句に沙汰有りけるとかや。此こそ正中と覚え侍る」(出典:吾妻問答(1467頃))
      2. [その他の文献]〔易経‐乾卦文言〕
    3. 天体がある地点の天の子午線上にくること。天頂より南で正中する時は南中ということが多い。子午線経過。
    4. 正しくあたること。的中。
    5. しょうなか(正中)
  2. [ 2 ]しょうちゅう(正中)

しょうちゅうシャウチュウ【正中】

  1. 醍醐天皇の代の年号。元亨四年(一三二四)一二月九日に甲子の年にあたるため改元。正中三年(一三二六)四月二六日嘉暦元年と改める。元年に正中の変が勃発(ぼっぱつ)執権北条高時。出典は、「周易」の「見龍在田、利大人、何謂也、子曰、龍徳而正中者也」「需有孚、光享、貞吉位乎天位、以正中也」。

しょう‐ちゅうシャウ‥【正中】

  1. 〘 名詞 〙しょうなか(正中)

しょう‐なかシャウ‥【正中】

  1. 〘 名詞 〙 能舞台の中央の位置をいう。しょうちゅう。

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日本の元号がわかる事典 「正中」の解説

しょうちゅう【正中】

日本の元号(年号)。鎌倉時代の1324年から1326年まで、後醍醐(ごだいご)天皇の代の元号。前元号は元亨(げんこう)。次元号は嘉暦(かりゃく)。1324年(元亨4)12月9日改元。1324年は甲子(かっし)の年にあたり、甲子は徳を備えた人に天命が下される革令(かくれい)の年で変乱が多いとされることから、先例にならい、甲子革令を防ぐ目的で改元が行われた。『周易(しゅうえき)』(『易経(えききょう)』)を出典とする命名。正中年間の鎌倉幕府の将軍は守邦(もりくに)親王(9代、鎌倉幕府最後の将軍)。執権は北条高時(たかとき)(14代)。後宇多(ごうだ)法皇院政が1321年(元亨1)に停止したため、この頃の朝廷では後醍醐天皇による親政が行われていた。1324年(正中1)、後醍醐を中心とする討幕計画が発覚。天皇自身に処分は及ばなかったが、側近の日野資朝(すけとも)らが六波羅探題(ろくはらたんだい)に捕縛され、処分を受けた(正中の変)。

出典 講談社日本の元号がわかる事典について 情報

普及版 字通 「正中」の読み・字形・画数・意味

【正中】せいちゆう

まん中。

字通「正」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の正中の言及

【南中】より

…観測地点における子午線は,天の北極,天頂,天の南極を通る天球上の大円であるが,そのうちの天の北極から天頂を経て天の南極に至る半円部分を,日周運動によって,天体が東から西へ通過するときのこと。極上正中,あるいは単に正中とも呼ぶ。これに対して,子午線の残りの半円部分を天体が西から東へ通過するときのことを北中,あるいは極下正中という。…

※「正中」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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