正念場・性念場(読み)しょうねんば

精選版 日本国語大辞典 「正念場・性念場」の意味・読み・例文・類語

しょうねん‐ば シャウネン‥【正念場・性念場】

〘名〙
① 歌舞伎・浄瑠璃などで、一曲一場の大事見せ場。主人公になった役者がその役の真髄的な性格を十分に見せる、最も重要な場面。「寺子屋」の首実検など。しょうねば。
※滑稽本・穴さがし心の内そと(1863‐65頃)初「そんなら是から往ても好きな人の性根(シャウネンバ)が見られるナア」
② 最も肝心なところ。ここぞという大事の場面。しょうねば。
恍惚の人(1972)〈有吉佐和子〉一六「自分と茂造についてこれからが正念場(ショウネンバ)だと言えるのではないかと思うだけの根拠はあった」
[語誌]近世の演劇用語に「物事の肝心かなめの所」の意の「性根」を見せる場の意で、「性根場(しょうねば)」「性根所(しょうねどころ)」という語がある。その「一番大切な所」を演じ切るには「正常で乱れのないしっかりした心」が必要であるところから、「正念」との類推で「性根場」から「正念場」へと語形が変化することになったものかと思われる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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