正無(読み)まさなし

精選版 日本国語大辞典 「正無」の意味・読み・例文・類語

まさ‐な・し【正無】

〘形ク〙 (まさにあるべきさまから、いちじるしくかけ離れていることにいうか)
[一] 一般的な規準に合致しない。
① 見苦しい。外聞が悪い。行儀が悪い。
※竹取(9C末‐10C初)「こわ高になのたまひそ。屋の上にをる人どもの聞くに、いとまさなし」
② 不当だ。ふつごうだ。あってはならない。
平家(13C前)八「まさなうも敵(かたき)にうしろをば見する物かな」
③ 正常でない。たわいのない。
俳諧・新花摘(1784)「わどのやまひにおかされて、まさなくそぞろごといふなめり」
[二] その時その時の予想や期待に合致しない。
① 思いがけない。全く予想もしていない。
源氏(1001‐14頃)絵合「ゑは猶ふでのついでにすさびさせ給あだごととこそ思ひ給へしか、いとかうまさなきまで、いにしへの墨書の上手どもあとを暗うなしつべかめるは」
② 予想・期待に合わず、いけない。
※源氏(1001‐14頃)紅葉賀「見る目にあくはまさなき事ぞよ」
[三] 事実と合致しない。
※読本・雨月物語(1776)菊花の約「まことに夢の正(マサ)なきにあらず」
まさな‐げ
〘形動〙
まさな‐さ
〘名〙

まさ‐な【正無】

(形容詞「まさなし」の語幹) よくないこと。いけないこと。困ったこと。また、そのさま。
※枕(10C終)九「乳母の馬の命婦、あなまさなや、入り給へ、とよぶに」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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