武器形祭器(読み)ぶきがたさいき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「武器形祭器」の意味・わかりやすい解説

武器形祭器
ぶきがたさいき

代表的なものとして青銅製の銅剣銅鉾銅戈 (どうか) など,弥生時代には武器をかたどった儀器祭器と考えられるものが西日本を中心に分布している。これらは朝鮮半島大陸から導入された当初は,鋭利な刃を持ち個人の威厳を示す実用武器として,墓の副葬品に埋められたものが多いが,時期が下るとともに国産化が進行し,素材の銅質・鋳上がりが低下し,刃も厚く鈍くなる。最後には鋳放しのまま袋穂にも鋳型の土が詰まり,耳にも穴がなく,柄の装着さえ不可能になる。祭儀的なものとして祭りの場に立てられたものが,ついには呪術的・示威的な単なる御神体へ変化したものと推定できる。これらは集落から離れた丘陵斜面など,墓ではない場所に一括して埋納されており,共同体全体で保有されていた祭器と考えられている。なお武器型祭器には,青銅製のほかに石戈等石製のもの,木戈・木剣等木製のもの,角戈等骨角製のものなど,さまざまな素材が用いられている。

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