武器輸出三原則(読み)ブキユシュツサンゲンソク

デジタル大辞泉 「武器輸出三原則」の意味・読み・例文・類語

ぶきゆしゅつ‐さんげんそく【武器輸出三原則】

国外への武器輸出禁止した日本の政策。平成26年(2014)4月、これに代わって防衛装備移転三原則が策定された。
[補説]共産圏諸国、国連決議で武器等の輸出が禁止された国、および紛争地域への武器の輸出を禁止。その他の地域についても、国際紛争を助長しないために、武器等の輸出を慎むものとした。ただし、米国への武器技術供与弾道ミサイル防衛システムの共同開発や、平和貢献国際協力や日本の安全保障にかかわる案件などについては、例外として認められた。

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共同通信ニュース用語解説 「武器輸出三原則」の解説

武器輸出三原則

安倍晋三首相が2014年に全面的に見直した政府の武器禁輸政策。東西冷戦背景に1967年、当時の佐藤栄作首相が/(1)/共産圏諸国/(2)/国連決議で武器輸出が禁じられている国/(3)/国際紛争の当事国―への輸出を認めないと表明。76年に三木内閣が全面禁輸へ拡大した。安倍内閣は新たな輸出ルールとして「防衛装備移転三原則」を昨年4月に閣議決定。国際協力の積極的な推進や日本の安全保障に資する場合、相手国の適正な管理などを条件に輸出を認めた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「武器輸出三原則」の意味・わかりやすい解説

武器輸出三原則
ぶきゆしゅつさんげんそく

1967年4月佐藤栄作内閣総理大臣が衆議院決算委員会で表明した,(1) 共産圏諸国,(2) 国連決議による武器禁輸対象国,(3) 国際紛争の当事国またはそのおそれのある国には武器輸出を認めないとする政策。1976年2月に三木武夫首相は,三原則における「武器」を「軍隊が使用し,直接戦闘の用に供されるもの」と定義,(1) 三原則対象地域については武器の輸出を認めない,(2) それ以外の地域については武器の輸出は慎む,(3) 武器製造関連設備の輸出については武器に準じて取り扱う,という,従来の政策を強化する統一見解を表明した。しかし,アメリカ合衆国政府からの防衛分野技術の相互交流要請をうけ,1983年1月に中曽根内閣が三原則の例外としてアメリカに武器技術を供与することを決定。以後もたびたび例外が認められ三原則が緩和されるなかで,2014年4月安倍晋三内閣が武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」を閣議決定(→閣議)した。新たな三原則は,(1) 移転を禁止する場合の明確化,(2) 移転を認めうる場合の限定ならびに厳格審査および情報公開,(3) 目的外使用および第三国移転にかかる適正管理の確保。国連安保理決議に違反した国などへの輸出は禁止したうえで,厳正な審査を経て平和貢献・国際協力や日本の安全保障につながることが認められた場合にかぎって輸出を認め,相手国が第三国に装備品を移す場合は原則的に日本の事前同意を得るよう義務づける。移転の対象には武器だけでなく周辺技術も含まれるため,呼称は「防衛装備」とされた。移転の可否は経済産業省が審査するが,重要案件は国家安全保障会議で審査する。

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知恵蔵 「武器輸出三原則」の解説

武器輸出三原則

1967年4月に佐藤栄作首相は衆議院決算委員会で、(1)共産圏、(2)国連決議で武器禁輸になっている国、(3)国際紛争の当事国あるいはその恐れのある国に対する武器輸出は輸出貿易管理令で承認しない、と答弁した。76年2月、三木武夫首相は、衆議院予算委員会で、(1)三原則地域への輸出を認めない、(2)それ以外の地域への輸出も慎む、(3)武器製造関連設備の輸出も武器に準じて扱う、との方針を表明した。ここで「武器」とは、軍隊が直接戦闘用に使うもの、人を殺傷、物を破壊する機械、器具、装置と定義しており、日本製トラック、四輪駆動車、無線機などは「武器」ではないため、多くの軍隊で実戦にも使われている。2004年、政府はミサイル防衛(MD)に関する米国との共同開発・生産を三原則の例外とした。

(田岡俊次 軍事ジャーナリスト / 2007年)

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