武士道(新渡戸稲造の著作)(読み)ぶしどう

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

武士道(新渡戸稲造の著作)
ぶしどう

新渡戸稲造(にとべいなぞう)の英文著作。原著名『Bushido, the Soul of Japan』。1899年(明治32)アメリカのフィラデルフィアで出版され、翌年日本でも刊行された。彼は武士階級の道徳的あり方を律してきた武士道を「日本の魂」としてとらえ、道徳体系としての武士道が説く義・勇・敢為堅忍の精神、仁・礼・誠・名誉・忠義・克己等々の徳目は、単に武士階級にとどまらず広く人間形成における普遍的規範として西欧におけるキリスト教的な個人倫理に比肩されうるものであると強調している。本書は英語圏国民の間で愛読されたのみでなく、ドイツ語版、ポーランド語版をはじめ7か国語に翻訳された点で、日本人の著作として希有(けう)なものであった。

[田代和久]

『矢内原忠雄訳『武士道』(岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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