比御厨・比庄・比保(読み)くしひのみくりや・くしひのしよう・くしひほ

日本歴史地名大系 「比御厨・比庄・比保」の解説

比御厨・比庄・比保
くしひのみくりや・くしひのしよう・くしひほ

門前町を流れるはつヶ川の中・上流域から門前町南部一帯に比定され、古代の鳳至郡櫛師くしし(和名抄)に成立したと思われる。御厨・庄・保は領域的には重層的に存在したようである。

〔比御厨〕

建久三年(一一九二)八月日の伊勢神宮神領注文(神宮雑書)に「能登国 櫛代くしろ御厨」とみえ、保元年中(一一五六―五九)に伊勢内宮領の御厨となり、給主は大弐三位家(藤原信西の孫範能)で、供祭物として布一〇〇端が、またこれとは別に布五〇端が進納されていた。建久七年七月には訴訟のため上洛する神宮使の在京費用が当御厨など六ヵ所に各二石ずつ賦課されている(同月一六日「大神宮司庁宣」同書)。延文五年(一三六〇)三月注進の「神鳳鈔」によれば、内宮へ布一〇〇端、口入神主へ五〇端を上納する八〇町の地であった。しかし応安四年(一三七一)以前に当御厨の三分の一の下地が京都新熊野いまくまの社に寄進され、同年三月に同社の範恵に安堵されている(同月二五日「後円融天皇綸旨」新熊野神社文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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