毛様線虫(読み)モウヨウセンチュウ(その他表記)trichostrongylid

デジタル大辞泉 「毛様線虫」の意味・読み・例文・類語

もうよう‐せんちゅう〔モウヤウ‐〕【毛様線虫】

毛様線虫科の線虫総称人間小腸に寄生する東洋毛様線虫は体長4~8ミリほどで、孵化ふかした幼虫経口摂取して感染する。多数寄生では腹痛下痢貧血などの症状を呈する。羊・牛や鳥に寄生するものもある。

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精選版 日本国語大辞典 「毛様線虫」の意味・読み・例文・類語

もうよう‐せんちゅうモウヤウ‥【毛様線虫】

  1. 〘 名詞 〙 袋形動物毛様線虫属に属する寄生虫。体長一〇ミリメートル以下、幅約〇・一ミリメートルで、ヒトヒツジヤギ、牛などの小腸に寄生する種類が多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「毛様線虫」の意味・わかりやすい解説

毛様線虫
もうようせんちゅう
trichostrongylid

線形動物門双腺(そうせん)綱円虫目毛様線虫科に属する比較的小形の細い寄生線虫の総称。ヒトに寄生する東洋毛様線虫のほか、ヒツジ、ヤギ、ウシなどの小腸に寄生する蛇状毛様線虫(へびじょうもうようせんちゅう)Trichostrongylus colubriformisや細頸毛様線虫(ほそくびもうようせんちゅう)Nematodirus filicollis、同じく第4胃に寄生する捻転胃虫(ねんてんいちゅう)Haemonchus contortusやオステルターグ胃虫Ostertagia ostertagiなど多数の種類があり、哺乳(ほにゅう)類や鳥類の消化管に寄生している。多数寄生すれば重い症状をおこすものもある。

 東洋毛様線虫Trichostrongylus orientalisはヒトの小腸上部に寄生し、毛状で雄の体長4~6ミリメートル、雌5~7ミリメートル。発育環は鉤虫(こうちゅう)のそれと似ており、卵は糞便(ふんべん)とともに排出され、外界孵化(ふか)した幼虫は一定の発育ののち感染型幼虫となり、主として経口的にヒトに感染する。多数寄生すれば腹痛、下痢、全身倦怠(けんたい)などをおこす。日本東北北陸地方から報告された)、中国朝鮮半島台湾などに分布する。

[町田昌昭]

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