水撃作用(読み)スイゲキサヨウ(英語表記)water hammer

翻訳|water hammer

デジタル大辞泉 「水撃作用」の意味・読み・例文・類語

すいげき‐さよう【水撃作用】

ウオーターハンマー

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改訂新版 世界大百科事典 「水撃作用」の意味・わかりやすい解説

水撃作用 (すいげきさよう)
water hammer

例えば水槽から長い管で水を流出させる場合,管末端にある弁を急に閉じると,管内に非常に高い圧力と低い圧力が交互に発生し,激しい振動を生ずる。このような現象を水撃作用またはウォーターハンマーという。水撃作用がとくに激しい場合は管を破損することもある。この現象は,わずかではあるが水に圧縮性があるために起こるものであって,弁閉鎖の瞬間,弁にごく近接した水は停止するが,少し離れた水は流速をもっていることによる。瞬時閉鎖の場合圧力上昇⊿pは⊿p=ρavPa)で与えられる。ただし,ρは水の密度(kg/m3),aは管内の水中を伝わる音速で約1400(m/s),vは弁閉鎖前の流速(m/s)である。この高圧の状態は圧力波となってaの速度で上流側へ伝わり,管内圧力は⊿pだけ上昇し,流速は0となる。圧力波が管路入口に達すると,管内圧力が水槽内より高くなるので,管内から水槽へ向かう流れが生じ,圧力は弁閉鎖前の状態に戻る。この状態が今度は反射波としてaの速度で下流側へ伝わり,弁のところでは水を弁から引き離そうとするから低圧を生じ流速は0となる。この状態が再び管内を上流側へ伝わる。このようにして管内に大きい圧力変動を生ずる。水タービンやポンプの運転時,水タービンの負荷がなくなって案内羽根が閉鎖したり,ポンプへの入力が0になって回転数が急低下する場合,上述と同様な現象が生ずる。水撃作用を軽減させるためには,管内流速を急に変化させないことが必要で,水タービンやポンプでは種々の対策が講じられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「水撃作用」の意味・わかりやすい解説

水撃作用
すいげきさよう
water hammer

管路の流れで、流速の急激な変化により発生する圧力の急激な変化が圧力波(水撃波)となって管路内を伝播(でんぱ)する現象。水撃現象ともいう。管路に取り付けられたバルブやポンプを急激に操作すると、水撃波が発生する。水撃作用による圧力上昇により管路が破壊されることがある。水撃作用に対してバルブやポンプを急激に操作しないようにしたり、管路にサージタンク(調圧水槽)を設置するなどの対策がとられる。

[鮏川 登]

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百科事典マイペディア 「水撃作用」の意味・わかりやすい解説

水撃作用【すいげきさよう】

ウォーターハンマーとも。水が充満して流れている管路を急に閉鎖すると水圧が急上昇し,生じた圧力波が急激に管内を往復する現象。管が破壊されることもあり,水力発電所では弁の開閉速度を制御し,これを防いでいる。
→関連項目ヘッドタンク

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水撃作用」の意味・わかりやすい解説

水撃作用
すいげきさよう
water hammer

管内を充満して流れている流体を弁などを用いて急速に遮断または減速すると弁の後方に高圧を生じ,この圧力上昇が圧力波として伝わる現象。弁を急速に開放する場合も同様の現象を生じるが,このときには圧力降下を伴う。水力発電で,水車などの設備を損傷する要因となる。

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