水時計(読み)ミズドケイ

デジタル大辞泉 「水時計」の意味・読み・例文・類語

みず‐どけい〔みづ‐〕【水時計】

水のしたたりや流入流出の量によって時刻をはかる時計漏刻ろうこく
[類語]時計腕時計置き時計柱時計目覚まし時計目覚まし砂時計金時計鳩時計花時計日時計ストップウオッチタイムスイッチタイマーセルフタイマー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「水時計」の意味・読み・例文・類語

みず‐どけいみづ‥【水時計】

  1. 〘 名詞 〙 容器の小穴から流出する水による容器内の水量の変化で時刻を知るように工夫された時計。日時計よりも歴史が古く、紀元前一四〇〇年ごろのものがエジプトに現存。日本にも古く中国から伝わったものがあり、漏刻(ろうこく)と呼ばれた。
    1. [初出の実例]「其外水どけい・沙どけいの製も、他州よりは甚くわし」(出典:紅毛談(1765)下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「水時計」の意味・わかりやすい解説

水時計 (みずどけい)
water clock

容器の底の穴から流出,あるいは容器に流入する水の量によって時間を測る時計。日時計の次に出現したもので,機械時計が普及するまで夜間,曇雨天用に使われた。前1400年ころのエジプトの水時計が現存している。これは水がめ状の容器の底に小さな水の流出孔があって,容器内側には時刻目盛が刻まれ,夜間に内面を指でさわって水面の位置と目盛から時刻を知った。また古代サクソン人は底に小さい穴のあいた金属製の鉢を水に浮かべ,鉢が沈むまでの時間が一定なのを時計として利用した。水時計をもっともよく利用したのは古代ギリシア人で,クレプシュドラ(もとは〈水を盗む〉の意)と呼ばれ,演説や裁判の弁論の時間を,一定量の水をあてがうことにより制限した。アレクサンドリアで活躍したクテシビオスが作った水時計は,円筒に水が少しずつ流れこんでうきをおし上げ,うきについた人形が時刻目盛をさし示すもので,流れこむ水量を自動的に調節して一定に保つしくみや,不定時法により月ごとに変わる時刻目盛を次々に円筒に記入しておき,これを自動的に回転させる装置をそなえた精巧なものだった。その後水時計はローマアラビア,中世ヨーロッパで改良が加えられ,非常に大型のものや文字盤時針をそなえたものも作られた。機械時計が作られるようになっても,なおしばらくの間利用されていた。なお中国の漏刻も水時計の一種である。
時計
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「水時計」の意味・わかりやすい解説

水時計
みずどけい

水のしたたりや流出・流入を利用して時間を測る時計。日時計や星時計は時刻を示すもので太陽や恒星が見えない場所では使用できず、また任意時点からの測定、時間の細分には適していない。古代文明の発祥地エジプトや中国などではこれを補うため古くから水時計が用いられた。現存最古のものは紀元前1400年ごろのエジプトの水時計で、バケツ状の容器の底に小穴があり、満たした水の水位変化によって時間を測る。ギリシア人はこれをクレプシドラclepsydra(水泥棒の意)とよんだ。前2世紀、水時計はアレクサンドリアのクテシビオスとその弟子ヘロンなどによって著しい発達を遂げた。クテシビオスの時計は月、日、時刻ばかりか黄道十二宮を示すものである。水時計は17世紀ごろまでも広く用いられ、なかには時打ち装置を備えたものもある。671年(天智天皇10)に初めて時を報じたとされる日本の漏刻(ろうこく)も水時計の一種である。

[元持邦之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「水時計」の意味・わかりやすい解説

水時計【みずどけい】

小穴のあいた容器から流出する水の量により時間を測る装置。最も古くから用いられた時計の一つで,日時計と違って夜間や曇天でも使える。現存最古のものはカイロ博物館にある前1400年ごろの水時計。古代ギリシアのクレプシュドラ,中国・日本の漏刻(ろうこく)が代表的。後には流出する水を別の容器に受けて浮子を浮上させ,これにより指針を動かすものも作られ,機械時計が出現するまで広く使われた。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水時計」の意味・わかりやすい解説

水時計
みずどけい
water clock

小さな穴から流れ出る水の量によって時をはかる装置。最古のものは前 400年頃ギリシアで用いられ,中国や日本でも漏刻の名で使用された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の水時計の言及

【時刻】より

…また原子時計の発達によって時間の精密測定が可能となり,それによって定められた時間が原子時である。
[日時計から水時計へ]
 人間が時間の観念を得たのは天空上における太陽の動きであるから,その太陽の位置を知る日時計が最初に考案された時計であったと考えられる。初めは1本の棒を立て太陽による影で時刻を知るノーモンgnomonが使用された。…

【時計】より

…オベリスクの高い尖塔も日影棒として用いられたという説もある。夜の時間をはかるのには水時計が用いられた。前1400年ころエジプトで作られた水時計が現存している。…

【漏刻】より

…中国で用いられた水時計のこと。漏は計時用の漏壺を指し,刻は時間の単位(1日は100刻が標準であるが,120刻,96刻,108刻とした時期があった)を意味する。…

※「水時計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ビャンビャン麺

小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...

ビャンビャン麺の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android