(読み)ヨク

デジタル大辞泉 「沃」の意味・読み・例文・類語

よく【沃】[漢字項目]

常用漢字] [音]ヨク(漢) ヨウ(エウ)(慣)
〈ヨク〉
水をそそぐ。「沃灌よくかん
地味が肥えている。「沃土沃野肥沃豊沃
〈ヨウ〉元素の名「ヨード」の音訳沃度ヨード」から。「沃化沃素

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精選版 日本国語大辞典 「沃」の意味・読み・例文・類語

いる【沃】

  1. 〘 他動詞 ヤ行上一 〙 液体を注ぐ。浴びせる。
    1. [初出の実例]「これを治(ぢ)せむやうは、面(おもて)に水なむいるべきとみる」(出典蜻蛉日記(974頃)中)
    2. 「せめての事に板に水をゐて、それにふしまろび給へ共、たすかる心ちもし給はず」(出典:平家物語(13C前)六)

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普及版 字通 「沃」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

(異体字)
11画

[字音] ヨク
[字訓] そそぐ・うつくしい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は夭(よう)。正字はに作り、(よう)声。〔説文〕十一上に「(がいくわん)するなり」とあり、農地に水を注ぐことをいう。〔周礼、夏官、小臣〕「大祭祀には覲(てうきん)し、王に沃(そそ)ぎて盥(くわん)せしむ」とあって、手を洗い清める沃盥の義が、字の初義であろう。ゆえに「つややか」「ゆたか」の意がある。〔詩、衛風、氓〕「其の、沃(よくじやく)たり」とはその意。のち沃土・沃野の意に用いる。

[訓義]
1. そそぐ、水そそぐ、田に水を入れる。
2. 手をあらう、あらいそそぐ。
3. ひたす、うるおす。
4. やわらか、さかん、うつくしい。
5. こえる、こえた地、沃土。

[古辞書の訓]
名義抄〕沃 イル・ソソグ・ヒタシ・ウルホス・コヤス・コユ・ヒタス・ウルフ・フルフ・オツ・キヨシ・アラフ 〔字鏡集〕沃 コヤス・アラフ・ソソグ・ナガス・イル・コエタリ・キヨシ・コユ・コホリ・ウルフ・ヒタス・ツク・ヲツ

[語系]
kは(濯)dik、tjikと声近く、清らかで明るい意がある。夭yの声義を承けるところがある。

[熟語]
沃雨沃衍・沃盥・沃沃若沃潤沃壌沃饒・沃水沃瘠沃雪・沃洗・沃地・沃沃田・沃土・沃・沃頭・沃美沃滅・沃野・沃沃腴沃沃・沃沃流沃淋
[下接語]
衍沃・沃・澆沃・啓沃・膏沃・灑沃・酒沃・壌沃・饒沃・沃・肥沃・豊沃

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