沖つ藻の（読み）オキツモノ

デジタル大辞泉

おきつも‐の【沖つ藻の】

［枕］沖の藻が波になびくところから「靡なびく」にかかる。
「―なびきし妹いもは」〈万・二〇七〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

おきつ【沖つ】 藻(も)の

枕

① 沖の藻が、波になびくところから、「なびく」にかかる。

※万葉（８Ｃ後）二・二〇七「奥津藻之(おきつもの) 靡(なび)きし妹(いも)は 黄葉(もみちば)の 過ぎて去(い)にきと」

② 沖の藻は海面下に隠れているので、隠れる意の「なばる」と同音の地名「なばり」にかかる。

※万葉（８Ｃ後）一・四三「吾が背子はいづく行くらむ己津物(おきつもの)隠(なばり)の山を今日か越ゆらむ」

[補注]「万葉‐四三」の例は「おくつもの」と訓む説もある。

出典　精選版 日本国語大辞典