沙汰始(読み)さたはじめ

精選版 日本国語大辞典 「沙汰始」の意味・読み・例文・類語

さた‐はじめ【沙汰始】

〘名〙 中世、毎年正月以後に行なう幕府各機関の政務始め。また、将軍が着任後、はじめて行なう政務始め。評定始め。
太平記(14C後)二七「頓(やが)て政務執行の沙汰始あり」

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改訂新版 世界大百科事典 「沙汰始」の意味・わかりやすい解説

沙汰始 (さたはじめ)

室町幕府における行事の一つ。武家社会における儀礼化が進んだ室町期には,幕府の諸事についても吉例,恒例と称して年中行事化されることが多かった。沙汰とは裁判,命令を意味することばであるが,室町中期の記録には,御前御沙汰始,室町殿(将軍)御沙汰始,幕府沙汰始,侍所沙汰始,小侍所沙汰始,政所御沙汰始などといったものがみえている。将軍,幕府や訴訟裁判をあつかう諸役所において,それぞれ式日を定めて行った。このうちの御前御沙汰始,室町殿御沙汰始は,いうまでもなく将軍の御前で行われる幕府の沙汰始であり,足利義満期以来毎年2月17日を式日としていた。この将軍御前の沙汰始の構成員は管領評定衆のほかに数名の奉行人が加えられ,これに出席する資格のある者は御前沙汰衆と呼ばれた。内容は奉行人が披露する3件ほどの事案を将軍が裁決するものであるが,形骸化していた評定始(ひようじようはじめ)に比べれば,より実質的なものであったといえる。
御前沙汰 →沙汰
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