( 1 )蘭学資料で「沸点」を意味する訳語としては、「植学啓原‐三」(一八三三)に「滾湯点(コーケンドピュント)」、「舎密開宗‐内」(一八三七‐四七)に「沸度」、「気海観瀾広義‐一〇」(一八五一‐五八)に「沸湯点」などがあり、一定していない。
( 2 )明治の英学の時代になっても、はじめは「沸騰点」が使われており、「沸点」が一般化するのは、明治三〇年以降か。
液体が沸騰する温度。沸騰点ともいう。厳密には一定圧力のもとで飽和蒸気とその液体とが平衡を保って共存する温度のことであるが、普通、圧力は1気圧をとることが多く、その液体の蒸気圧が1気圧になる温度といってもよい。しかし、一般に沸点は のように圧力に強く依存し、その関係はクラウジウス‐クラペイロンの式で与えられる。 中の曲線DFは水の沸点と圧力の関係を示すものであるが、この曲線の、ある特定の温度と圧力での勾配(こうばい)dT/dPは、水蒸気と水との比体積の差ΔVと、水が水蒸気に変わるために必要な熱量、すなわち蒸発熱(気化熱ともいう)ΔHと次式によって結び付けられる。
なお、このようなクラウジウス‐クラペイロンの式は の曲線CD(昇華温度と圧力の関係)、およびDE(氷点と圧力の関係)においても成り立つものである。溶液の場合、その沸点は溶質の溶解量によって変化することが知られており、溶質を加えることによって溶媒の沸点が上昇する現象は沸点上昇とよばれる。希薄溶液の沸点の変化量は溶質のモル数に比例して上昇し、その比例定数は溶媒のみによって決まり溶質の種類によらないことが知られている。
[平野賢一]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…この液体内部から起こる気泡の形成を伴う気化現象を沸騰という。沸騰の起こる温度を沸点(または沸騰点。記号ではboiling pointの略でbp)という。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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