法主(読み)ホウシュ

デジタル大辞泉 「法主」の意味・読み・例文・類語

ほう‐しゅ〔ホフ‐〕【法主】

仏語
法門の主、すなわち仏。ほっしゅ。ほっす。
仏法を説く人。仏や維摩ゆいま居士などをさす。ほっしゅ。ほっす。
法会主宰者である僧。ほっしゅ。ほっす。
一宗派の長。ほっしゅ。ほっす。
[類語]管長

ほっ‐す【法主】

ほうしゅ(法主)」に同じ。

ほっ‐しゅ【法主】

ほうしゅ(法主)

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精選版 日本国語大辞典 「法主」の意味・読み・例文・類語

ほう‐しゅ ホフ‥【法主】

〘名〙
① 法門の主、すなわち仏の称。〔勝鬘経‐十受章〕
② 法(真理)に通達した人。法(真理)を説く人。
※維摩経義疏(613)見阿閦仏品第一二「何則仏与浄名既為法主
③ 一宗派の首長
神皇正統記(1339‐43)上「法皇は両流の法主にましますなり」
④ 法会(ほうえ)の主宰者。
※性霊集‐八(1079)三嶋大夫為亡息女書写供養法花経講説表白文「伏惟、今日法主、三嶋真人氏、昔植良因、今鍾善果
中国僧官の一つ。一寺衆僧の代表者。
壒嚢鈔(1445‐46)一三「我朝の寺司法頭も皆寺主の義歟。唐には是を法主とも任じ、僧主供授けたり」

ほっ‐す【法主】

〘名〙 (「す」は「主」の呉音) =ほうしゅ(法主)
※東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉一月暦「鯉の身二切は、〈略〉京都本山東本願寺に送って法主(ホッス)に献じ」

ほっ‐しゅ【法主】

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改訂新版 世界大百科事典 「法主」の意味・わかりやすい解説

法主 (ほうしゅ)

〈ほっす〉〈ほっしゅ〉ともいう。元来は仏の敬称。《中阿含第四十九大空経》に〈世尊ヲ法ノ本ト為シ,世尊ヲ法主ト為ス〉,《雑阿含経》第一に〈世尊ヲ法主ト為シ導ト為シ覆ト為ス〉,《勝鬘宝窟》巻中末に〈仏ハ諸法ヲ得タルガ故ニ法主ト名ヅク〉とある。しかしその後,教えを説く人,高位大徳,法会の主宰者,一派の管長,大本山の住職などさまざまな意味に使用されるようになった。《釈氏要覧》はそれについて,〈仏為説法主,今古皆以説法知法之僧,為法主〉といっている。中世以後,法主の語は多く高位大徳の敬称として用いられた。《法然上人行状画図》には,〈爰に我大師法主上人,行年四十三より念仏門にいりて,あまねくすゝめ易行道をしめして〉とあり,法然を法主上人といっている。《神皇正統記》宇多天皇の条には,法皇の出家後の系譜を示し〈法皇ハ両流(広沢・小野)ノ法主ニマシマス也〉とある。近世から近代にかけて,法主は本山の住職や一派の管長を指すのが一般的になった。《考信録》には,法主の同義語として,宗主法王,禅主,法王主,門主,門跡の呼称をあげ,その出典を示している。しかし一般には,法主は宗主,門主,門跡と区別されず,併用されることが多かった。中国では,講法の主を法主と称し,僧官の一つにも法主があった。真宗大谷派は,1981年新宗憲を制定公布したが,法主の名称を門首とあらため,その地位を〈門首は,本派の僧侶及び門徒を代表して,真宗本廟の宗祖聖人真影の給仕並びに仏祖の崇敬に任ずる〉と規定した。これは,門主,法主の〈主〉の語が意味し,それによって生ずる主従関係を,教義によって否定したものである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「法主」の意味・わかりやすい解説

法主
ほっしゅ

仏教用語。 (1) 諸法の主という意味で仏陀をさす。 (2) 「ほっす」と読み,一宗を統理する最高位にある者の称で特に浄土真宗の管長をさす場合が多い。 (3) 中国の僧官の官職名。

法主
ほっす

法主」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の法主の言及

【法主】より

…元来は仏の敬称。《中阿含第四十九大空経》に〈世尊ヲ法ノ本ト為シ,世尊ヲ法主ト為ス〉,《雑阿含経》第一に〈世尊ヲ法主ト為シ導ト為シ覆ト為ス〉,《勝鬘宝窟》巻中末に〈仏ハ諸法ヲ得タルガ故ニ法主ト名ヅク〉とある。しかしその後,教えを説く人,高位大徳,法会の主宰者,一派の管長,大本山の住職などさまざまな意味に使用されるようになった。…

【住職】より

…たとえば,皇室ゆかりの名刹では,平安時代から勅許によって門跡(門主)の称が許され,いわゆる門跡寺院が現れた。また,延暦寺は座主(ざす),園城(おんじよう)寺(三井寺)は長吏,東寺は長者,西大寺は長老,本願寺は法主(または門跡),東大寺,興福寺,法隆寺は別当,日蓮宗諸本山は貫主(かんじゆ)(貫首),近世の檀林などの宗学研鑚の寺では能化(のうけ),化主などと,その寺独自の呼称があった。そして,近代ではこれら大寺院は宗派を超えて管長と称すことも多い。…

【法主】より

…元来は仏の敬称。《中阿含第四十九大空経》に〈世尊ヲ法ノ本ト為シ,世尊ヲ法主ト為ス〉,《雑阿含経》第一に〈世尊ヲ法主ト為シ導ト為シ覆ト為ス〉,《勝鬘宝窟》巻中末に〈仏ハ諸法ヲ得タルガ故ニ法主ト名ヅク〉とある。しかしその後,教えを説く人,高位大徳,法会の主宰者,一派の管長,大本山の住職などさまざまな意味に使用されるようになった。…

【住職】より

…たとえば,皇室ゆかりの名刹では,平安時代から勅許によって門跡(門主)の称が許され,いわゆる門跡寺院が現れた。また,延暦寺は座主(ざす),園城(おんじよう)寺(三井寺)は長吏,東寺は長者,西大寺は長老,本願寺は法主(または門跡),東大寺,興福寺,法隆寺は別当,日蓮宗諸本山は貫主(かんじゆ)(貫首),近世の檀林などの宗学研鑚の寺では能化(のうけ),化主などと,その寺独自の呼称があった。そして,近代ではこれら大寺院は宗派を超えて管長と称すことも多い。…

※「法主」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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